自営業は「ワーママ」に入らないの? 保活・PTAで感じる厳しい視線に…「ちっこい会社の奥さん」怒り爆発

夫の会社で働いている。そんなワーママも実はけっこう多いのではないでしょうか。「自営業」とひとくくりにしがち、さらに保活ではは点数が低い、入りづらいといった話もちらほら耳にします。

■「子連れで出勤できるでしょ」…なんて言われても

小さい事務所や工場で、妻は経理をやり、掃除をし、従業員の管理をして、電話番に営業に夫の秘書役もやる。確かに夫が「社長」なのですから、子育て中でも休みは取りやすいかもしれない。工場は自宅内にあって通勤の必要もないかもしれない。企業で働くフルタイムワーママに比べたら、いくらかでもマシなはず?

数年以上前の事です。私の若い友人が

「保活でね、家で商売しているからって、面接の担当者が最初から疑心暗鬼で質問してくる。本当は働いてないのに給与明細細工したりするでしょ、みたいに。もうビックリだよ。ウチはビス作ってるだけの従業員2人の超零細企業だよ? 私が休んだらそれだけで仕事量が減る。待機児童が多い場所だからしょうがないと諦めたけど、3カ月の赤ん坊をホコリが舞散る工場の隅っこにベビーチェアで放置だよ?」

「子連れで出勤できるでしょ、だって。狭い工場に裁断するような機械ばかりで、昔は指を落とした職人だっていたんだよ? そこにヨチヨチ歩き回る2歳児を連れて出勤できると思う? 2度目の保活でも入れなかった」

■「自営の人が簡単に保育園入れたら困るよね」…なんて陰口まで叩かれて

確かに自営業やフリーランスは、待機児童が多いエリアや自治体によっては、審査が厳しくなる傾向はあります。自分たちで就労証明書や給与明細を細工しようと思えば細工できる、実際にやった人が過去にいる、というのがハードルを高くしているのが現実です。

とはいえ、保育園に入れないわけではありません。自営業だと「減点」というのは都市伝説。ただし、加点になるわけでもありません。勤労状況の申告でいかに「仕事をしている実態」を認めてもらえるか、がカギになります。

でも、これは自営業やちっこい会社の働くママたち、少し調べればわかる事。また実際にそうした保活の努力はみんな同じです。

実はもっと「モヤモヤする」拭い切れない不満は別のところにあったんです。

「保活中のママたちと児童館で知り合ったんだよね。そしたら自営業なら、休みとるのも気兼ねしない、早退や遅刻しても何も言われないでしょ。ありがたい立場だよね羨ましいわ、って。その上、私がいない所では、ああいう自営の人が簡単に保育園入れたら困るよねって!」

■小さな自営の会社を支えるママの悲痛な叫び

ほとんどが従業員数人、あるいは夫婦ふたりにパートが1人、なんていうケース。企業なら文句は言われても「休んだ分は誰かがカバーしてくれる」。肩身の狭い思いはするかもしれないが、会社力じたいが大きい。

が、「ちっこい会社」はどうでしょうか。

「下の子どもはお散歩ヒモでデスクと結んでずっとお菓子をあげっぱなし。上の子は結局幼稚園に入れて、私はパートさんと梱包作業に追われてお迎えは夫に頼むしかなかった。その30分の間にお得意さんがやってくる。社長さんいないんだ?じゃ、話しわかんねーな、次にねって帰っちゃうのよ。それで1つ、貰えるはずの発注が消えちゃうの。うちみたいなちっこい工場はね、そういう小さな仕事の積み重ねで何とか回してるのに!」

■「お手伝いさん」じゃなくてワーママなんだ!

育休をとり復職をして、時短勤務からやがてフルタイム復活。ワーママのロールモデルのように言われるけれども、多くの女性がまた違った環境で、試行錯誤しながら育児と仕事を両立している……。

「商店を手伝う奥さん」

「ナントカ工場んとこのお嫁さん」

キャリアとして捉えられない「お手伝いさん扱い」。単なる身内の働き手とされる女性もいるのです。その後も飲む機会があるたびに、彼女の怒りは増すばかりでした。

「工場支えるのだってキャリアじゃないの? クリーニング屋の奥さんが赤ちゃんオンブして受付やってるの、ワーママじゃないの?」

「私は今大きなプロジェクトを担当してるから、って。私たちと何が違うの? 私たちだって、帰宅して子どもが寝てから今度は今日の売上を入力して帳簿つける。信用金庫と交渉するのも、軽トラで納品に行くのも私なの!だのにワーママとは思われないのね」

「……ワーママ、の認定なんてないはずだけど」

小さくつぶやいた私に彼女は溜め息をつきました。

「私はね、上の子が小学校に入って余計に感じたよ。フルタイムのワーママと私たちには壁がある。PTA役員決めの時だって、ドコソコさんは自営だし昼間も抜けられるでしょ、って。私は大企業で働くお母さんを妬んでるんじゃなくて、同じように私も忙しくて大変で頑張ってるワーママだって言いたい!」

■色々な働き方があるけど「みんなママなのは一緒」

女性の働き方は本当に様々です。子どもを産んでから、どんな形であれ仕事をするのはそれぞれ事情があり、それぞれの立場で苦労がある。比較できるものではない以上、働くお母さん同士で「働き方」や「働く場所」でお互いにどっちが大変か、で言い合うなんてバカバカしいですね。もしかしたら、待機児童が多く、保育園入園の優先順位をつけざるを得ない為に「夫婦の働き方」が点数化され「満点じゃないから、たいした仕事をしていない!?」と錯覚してしまうのでしょうか。

そもそも「どっちが大変か」と大変な人自慢がおかしいのです。ちっこい工場の彼女も、大企業のバリキャリママも、「ひとりのお母さんであり、ひとりの働く女性である」だけ。自分の仕事とは全く違う働き方もある。立ち位置が違う相手とも、「子育て真っ最中」という最大の共通点があるという事を忘れないでいたいですね。

(まいどなニュース/BRAVA編集部)

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