貯金して買ったのに「ひとり親はいいよね」…コロナ対策「ひとり親世帯臨時給付金」をうらやましがるママ友
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、収入が減少した人や失業した人が急増しています。こうした状況の中、仕事と育児を一人で行う低所得のひとり親世帯の多くは、子育ての負担の増加や収入の減少など大きなダメージを受けています。
そのため国は2020年8月、生活が困窮しているひとり親世帯に対して「ひとり親世帯臨時特別給付金」を支給しました。さらに長引くコロナ禍において同年12月、再給付されると発表されました。
このひとり親世帯臨時特別給付金が発端となり、私の知人が心無い言葉により涙する出来事が起こったのです。石川県在住のAさん(30代・会社員)から寄せられた体験を報告します。
■コツコツお金を貯めて買った子どもへの誕生日プレゼント
私の友人Aさんは小学1年生の女の子を育てるシングルマザーです。Aさんはずっと子どもに自転車が欲しいと言われていました。Aさんは子どもに自転車を買うため、毎月の給料から少しずつ貯金をしていました。そして貯金を始めて半年が経った9月、Aさんは子どもに誕生日プレゼントとして念願の赤い自転車を買ってあげたのです。
Aさんは満面の笑顔で自転車に乗る子どもと公園に行くと、保育園のときから仲良くしているママ友とその子どもが公園で遊んでいました。
Aさんがママ友に挨拶をすると耳を疑う言葉が返ってきました。
「ひとり親っていいよね。お金もらえて。もらった5万円で自転車買ったんだ」
Aさんはお金を貯めて買ったことを笑いながら話したそうですが、心の中は怒りと悲しみであふれかえっていました。
■さらにシングルマザーを追い詰めた心無い一言
長引くコロナ禍の中、ひとり親世帯に臨時特別給付金が再給付されることが決定しました。ニュースなどで報道された数日後、Aさんはあの発言をしたママ友とスーパーで偶然会いました。
多くの買い物客がいる店内でまたしてもママ友は、Aさんを追い詰めるような心無い一言を口にしたのです。
「また5万円もらえるから、クリスマスも大盤振る舞いできていいよね。シングルマザーって得だよね。離婚してお金もらえるから」
Aさんはショックのあまり何も言うことができず、涙をこらえ何も買わずに車に乗り込みました。隣には子どももいたそうです。
その夜、Aさんから私のもとに電話がかかってきました。彼女は嗚咽しながら、悔しい思いを話してくれました。
◇ ◇
低所得のひとり親は今回の給付金や児童扶養手当などの「現金給付」という支援を受けているため、その生活ぶりは何かと注目を浴びてしまいます。
今回の新型コロナウイルスの感染拡大において多くの人が経済的に大打撃を受けている中、給付対象者が低所得者ではなくひとり親であることに対して、賛否両論あるのかもしれません。
近年ひとり親世帯は増加傾向にあり、めずらしい存在ではなくなってきています。
しかしひとり親に対する支援が取り上げられることで、今回のママ友のような発言をする人は少なからずいるのが現状です。
「多様性を認める社会」を目指す日本においてシングルマザーは、まだまだマイノリティーな存在として見られているのではないでしょうか?
今回のような出来事で悲しむシングルマザーは少なくありません。
(まいどなニュース特約・島田 志麻)