鼻マスクで失格後にトイレ立てこもりで49歳受験生逮捕…その動機は?小川泰平氏が解説
大学入学共通テストで、男性受験生(49)が鼻をマスクで覆わず、再三注意されても応じずに失格となった後、会場のトイレに長時間閉じこもったとして、警視庁に建造物不退去容疑で現行犯逮捕されたことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は19日、当サイトの取材に対し、今回の逮捕容疑について解説し、コロナ禍の中でマスクをめぐるトラブル増発を懸念した。
この受験生は16日、都内の試験会場で行われた大学入学共通テストで、最初の地理歴史・公民の試験時に、試験監督からマスクで鼻を覆うように6回求められながら応じず、午後の英語・リーディングの試験中に不正失格を告げられて退席した。その後、トイレに移動してしばらく出てこず、会場側が警察を呼んだ。警察官が上部付近から個室に入り、同日午後10時ごろに現行犯逮捕した。
逮捕容疑となった「建造物不退去」について、小川氏は「建物の管理者から出て行くことを要求されながら、出ていかない場合に適用されます」と説明。「この男性は受験生なので試験会場に入ることは問題ない。トイレに入ることも別に問題はないのだが、今回のケースは数時間も個室に入ったまま、要求に応じずに出て来なかったため、同容疑が適応されたことになります」と付け加えた。
小川氏は「マスク着用は法律というわけではなく、試験会場のルールです。そのルールを守らずに『不正失格』となれば、すみやかに会場を立ち去ることになるが、それをせずにトイレの個室に立てこもった。気になるのは、本人の動機です。なんでそんなことをしたのか…。試験初日に不正失格となり、腹いせだったことも考えられるが、6回も注意されているので、これは普通ではない。別室での試験も可能と聞いている。別の理由があるのかもしれない。また、試験監督が『鼻をマスクで隠さない何らかの理由があるのか』と本人に聞いていたかどうかも気になる。そういった点について、警察が詳細に取り調べていくでしょう」と指摘した。
一方、ネット等で逮捕された受験生の「49歳」という年齢が取りざたされていることには「もっと高齢で大学を受験される方もいる。年齢で判断はできないですし、一概にどうこう言うことはできない」とした。
また、マスクから鼻を出していたことについて、小川氏は「呼吸疾患や持病があり、マスクで長時間、鼻を覆っていると支障をきたす人がいるのも事実。そういう事情があれば、事前に申し立てして別室で受験できるようにしてもらえたはず」と指摘しつつ、「今回、逮捕された容疑者はトラブルによって他の受験生にも動揺を与えて迷惑をかけたことになる」と見解を示した。
小川氏は「コロナ禍で、みなさんピリピリしています。マスクをせずに飲食店に入ったり、電車の中でマスクをしていなかったり、鼻マスクだったりで、周囲とトラブルになるケースもある。本当に持病や疾患のある方は別ですが、そうではない人がマスクをしないことで、今年もそういうトラブルが続きそうです」と懸念。「マスクをするということは、周囲のことを考えて、人にうつさない、みんなのためにするんだということを今一度、考えて直して欲しい」と呼びかけた。