大きなケガをきっかけに、過酷な野良猫生活に終止符 保護され家猫として幸せに暮らす
ペロティちゃんは、元野良猫。食べ物はもらっていたが、生傷が絶えない生活を送っていた。ある日、肩のあたりにざっくりと、人に傷つけられたような傷を負い、次第に弱っていった。猫を見守ってきた岩木さんは、最期くらい家で看取ろうと、ペロティちゃんを保護した。
■実家に住み着いた野良猫
2017年、新潟県に住む岩木さんの実家に1匹の野良猫が来るようになった。父親がえさを与えていた。顔も身体も小さく、触ろうとすると逃げてしまった。猫は、まだ若いようだったが全く大きくならなかった。捨てようと思っていたホットカーペットを丸めて置いておくと、猫はそこに住み着いた。実家には、20歳を筆頭に16歳、17歳のシニア猫が6匹いたが、父親も高齢だったので、「かわいそうだが、家の中で若い猫は飼えない」と言っていた。
2020年春頃、猫は肩のところに大きなケガをしていた。誰かに傷つけられたような跡だった。
「外猫だから、感染症を起こすと弱って死んでしまうかもしれない。最期くらいは家の中で看取ってあげようと思いました」
■老けて見えたが、まだ4歳
猫は、発泡スチロールの箱の中にささ身や刺身、魚などを入れてもらっていたが、父親から「食べなくなってきた」と連絡があった。痩せて、ふらふらしていた。
2020年6月、岩木さんは猫を保護して、2匹の先住猫とは別の部屋にケージを設置。家猫にして介抱をした。名前はペロティちゃんにした。
動物病院に連れて行くと、極度の脱水状態だが、血液検査の結果、死ぬことはないと診断された。歯肉炎がひどく歯はガタガタ、ボロボロのみそっ歯だった。毛もずいぶん抜けていて、一見何歳か分からなかったが、「おそらくおばあちゃん猫だ」と言われた。
しかし、父親に聞くと「もっと若い猫だと思う」ということだったので、岩木さんは別の動物病院で診てもらった。歯を見て推定すると年老いているようだが、栄養状態が悪かったり、ストレスが加わったりするとビニールのような被毛になる。おそらく4歳くらいではないかということだった。歯の治療をすると口臭が消えて、目ヤニや鼻水も治り、3カ月もすると被毛も普通の毛になってきた。
■飼い猫にしたいという願いがかなった
1カ月後、岩木さんは先住猫のミルキーちゃんとチロルちゃんをペロティちゃんと対面させた。しかし、ミルキーちゃんが激怒!ミルキーちゃんの金魚のフンのようなチロルちゃんも一緒になって威嚇した。
「ペロティの具合が悪くなるといけないので、再び隔離しました。ペロティが体力を取り戻したので再び対面させたのですが、今度は、ペロティがミルキーを黙って追いかける始末。ケージ越しにミルキーは怒るし、ペロティも飛びかからんばかりの体制でした。まだ隔離して生活しています」
ペロティちゃんは、何か気に入らないことがあると噛みついてきたり、ウーとかシャーッとうなるので譲渡は難しい。
2020年のお正月、家族がそれぞれ、今年やろうと思うことを紙に書いて発表していた。岩木さんは、「野良猫だったペロティちゃんを保護してあげたい、飼い猫として生きてほしい」と書いた。その願いが実現して良かったと思っている。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)