ユーチューブの動画、ダラダラ見続けないために…子どもと決めて大成功!シンプルなわが家の新ルール
前代未聞のコロナ渦で、私は友人から「家庭保育の限界を感じた」と相談を受けました。友人には年少の息子さんがいますが、子どもと家で過ごす時間が増え、時間をもて余してしまうことが多くなったそうです。
つまり、友人の言う家庭保育の限界とは、遊びのネタと親の体力が尽きてしまうこと。「一人でボーッとしていたい」「同じ遊びを繰り返すのは疲れる」といった理由で、ユーチューブを見せることが多くなり、子どもが「アイパッドを貸して!」とせがむようになってしまったそう。
私も、ユーチューブに夢中になっている間は子どもが大人しいため、公共交通機関での移動や病院の待ち時間、家事をしている間など、かなり頼っています。「助かる」と思うと同時に、ふとした時「こんなに見せて大丈夫なものか」と不安になることも...。
総務省情報通信政策研究所の2018(平成30)年度の調査では、ネット動画の視聴、スマホアプリの使用の低年齢化を受けて、12歳以下の子どもを対象とした設問を設けています。親の全年代で統計を見てみると、子どもがスマホアプリを使用していると答えた割合が13.9%に対して、ネット動画を視聴していると答えた割合は69%となりました。緊急事態宣言の再発令もあり、ふたたび外出がままならなくなりつつある今、ユーチューブばかりの子どもへの対応はどうしたらいいのでしょうか。
■ユーチューブを完全に見せないことは難しい
子どものユーチューブへの執着心が強くなったことに焦った友人は、"ユーチューブ断ち"と称してアイパッドを取り上げたそうです。ですが、年少にもなるとアイパッドが無ければスマートフォンでユーチューブが見られることを理解しています。その結果、「スマホ貸して!」とせがまれることが増え、友人も"スマホ断ち"を強いられることになったそう。「見せると欲しがるから、お昼寝と夜寝たあとしかスマホは使わなかった」と話していました。
"ユーチューブ断ち""スマホ断ち"にはデメリットがありました。現代社会ではスマホは必需品なのに、夫との連絡や調べものをしたいときにも、子どもの前ではスマホが使えません。かなり不便な毎日を送り、夫からも「いつでも連絡は取れるようにしておいてくれ」と言われてしまったそう。それからは、スマホを使うたびに「ママもやってるんだから、僕にもユーチューブをやらせて!」と、子どもに駄々をこねられる日々に戻りました。
駄々をこねられ、自分も思うようにスマホをいじれず、ユーチューブから気を逸らすための室内遊びには常につきっきり...友人のストレスは日に日に増していきました。ある日、洗濯物を干すか干さないか迷っていて天気を検索したとき、いつも通り「ユーチューブ見たいよ!」とグズった子どもに「いい加減にしてよ!」と怒鳴ってしまった友人。怒鳴られて大泣きしている子どもを見て、「怒鳴るくらいならちょっとくらい見せてもいいかな」と思ったそうです。
■時間を決めるよりも細かく区切るほうがいい
"ユーチューブ絶ち"を諦めた友人は、次に時間を決めて見せるようにしたそうです。子どもと話し合って決めた時間は1日1時間で、その間に友人は家事や小休憩をするようにしました。ですが、1時間経って「そろそろ時間だよ」と声掛けをしても、「あとちょっと」とグズられて思うようにいきません。「この動画が終わるまで」と言われて待っていても、終わる頃に気になる動画を新しく見始めて、ダラダラと見続けてしまうようになったのです。
「ユーチューブ!とせがまれるのもストレスだったけど、2人で決めた時間を守らないことの方が腹が立った」と友人は言います。そこで友人は、ユーチューブを見る時間を決めるのではなく、見る動画の本数を決めることにしたそうです。「時間を決めると、動画が続いたりして気持ちの区切りがつけにくい。だけど、見る動画を1本と決めれば、子どもも止めるタイミングを掴みやすい」という理由でした。確かに、1時間に収まるように見たい動画を選別するのは、幼稚園児にとっては難しい。だけど、動画を1つ見られるから、見たい動画を1つ選ぶというのはシンプルでわかりやすいです。
友人が新しく決めたルールは2つ。
・1日に3つ好きな動画を見られる
・動画を見るタイミングは1日3回で、朝食後、昼食後、お風呂の前
子ども向けの動画は1本15分程度の場合がほとんどなので、1日のユーチューブの視聴時間を少し減らすこともできました。さらに、動画が終わると「終わったよ!」と納得してアイパッドを渡してくれるようになったそうです。今では、1回1動画を1日3回というのが定着して、それ以外でユーチューブを見たがることもなくなったと話していました。
■子どもとユーチューブを上手に関わらせる
デジタル化が進んでいる今の社会では、子どものスマホやアイパッドの利用を、悪と言い切ることは難しいです。友人が悩んだユーチューブも、子どもがテレビや実生活からは得られないような知識を提供してくれたり、新しいことに興味を持つきっかけになるかもしれません。もう少し大きくなれば、友だち同士のコミュニケーションのネタにもなるでしょう。
スマホやアイパッド、動画やアプリを悪いものとして排除するのは簡単ですが、子どもが成長すれば、いずれ目の届かないところで利用することになります。その時のためにも、使わせない選択ではなく、上手につき合えるように誘導してあげることが必要ではないでしょうか。
(まいどなニュース特約・長岡 杏果)