おばあさんの認知症が進行し、飼えなくなった子猫 コロナ禍の譲渡会で里親の元へ「側にいてくれてありがとう」
東京都に住む裕子さんは、飼い猫を亡くして、もう一度猫と暮らしたいと思っていた。しかし、コロナ禍で譲渡会を開催できる状況ではなかった。緊急事態宣言が解除され、再び譲渡会が開催されるようになり、裕子さんは千葉県で保護されたさくらちゃんに出会った。
■認知症が進行、外猫の世話ができなくなった
千葉県で猫ボランティアのAさんのところに、猫を保護している保護部屋の近所に住む農家の人から、猫の捕獲について相談があった。農家のおばあさんが猫好きで、軒先でえさを与えていたところ、庭先に7~8匹の猫が現れるようになったという。ところが、おばあさんの認知症が進行し、猫の管理もままならなくなったため、娘さんから相談を受けたそうだ。
Aさんは、これ以上猫を増やさないようにメス猫のTNRをすることにした。10月3日に手術の予定を入れ、前夜19時ごろ捕獲器を仕掛けた。翌朝、仕掛けた捕獲器を見に行くと可愛らしい仔猫が入っていた。手術はキャンセルし、翌日、初期処置のために動物病院に連れて行った。子猫は生後6週くらい。ノミ取り、検便、虫下しの処置をし、ウイルス検査、ワクチン接種をした。
その後、検便でコクシジウムが検出され隔離生活を送ったが、無事に里親を募集することになった。後日分かったことだが、子猫を産んだ母猫は一切姿を見せなくなったそうだ。
■譲渡会で出会ったさくらちゃん
東京都に住む裕子さんは、1998年、友人がゴルフから帰る途中に保護した猫を引き取った。猫は事故に遭って怪我をしていたので入院し、退院後、裕子さんは猫との暮らしをスタート。初めて飼う猫だった。
2018年12月、裕子さんは、知り合いの家で生まれた兄弟猫2匹をもらった。生後3ヶ月だった。しかし、1匹目が1歳になる前の月に具合が悪くなり、動物病院通いをしていたが、突然亡くなった。2匹目も同じような症状で原因がわからず、猫白血病ウイルスによるリンパ腫で、2020年8月、2歳になる直前に亡くなった。
「コロナで大変な時に側にいてくれて、本当に感謝しかありません。その後、やはりもう一度猫を飼いたいと思い、譲渡会が再開してからすぐに譲渡会に行き、さくらと出会ったのです」
■猫がいるとコロナ禍でも楽しい
さくらちゃんは千葉県でボランティアが保護した猫だった。譲渡会でも、自宅に来てからも、小さな体で、必死で威嚇していた。
「可愛い顔なのですが、とにかくシャーシャー威嚇、3日間くらい顔を見るとシャーシャーされましたが、二週間もすると威嚇しなくなりました」
ケージの外で遊ぶことも覚えたが、昼寝をする時は自分でケージのハンモックに入って寝るなど、次第に環境にもなれたようだった。
夜中の大運動会がひどく、かわいそうだがケージに入れて寝たこともある。いまは全くなくなったという。ほとんど鳴かず、おとなしい性格だが、最近はカーテンに登るなど、たまにお転婆っぷりを発揮する。
まだ布団には入って来ないが、最近はベッドの裕子さんの足元で寝ているという。
「猫にはいつも癒されます。自宅で仕事をしているので、コロナ禍でも明るく楽しく生活しています」
裕子さんは、さくらちゃんに長生きしてほしいと願っている。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)