「絶対に生きろ!」-捨てられ息も絶え絶えだった子猫 羊の乳で回復、今では元気な美猫に成長

大雨が降る中、紙袋に5匹の子猫が捨てられていた。へその緒がついていたので生まれたばかりだった。発見された時、既に3匹は亡くなっていたが、2匹はなんとか生き残っていて、獣医師とボランティアの懸命の努力で命を繋ぐことができた。

■へその緒がついたまま捨てられていた子猫

2014年5月、大雨の日の朝、東京都に住む猫ボランティアは、ケーキ屋の紙袋にへその緒がついたまま入れられた5匹の子猫を発見した。紙袋なので子猫たちは雨に濡れ、既に3匹は亡くなっていた。残る2匹も見るからに弱っていた。

動物病院で治療を受け、栄養価の高い羊の乳を飲み、2匹はなんとか回復した。ボランティアも「絶対に生きろ!」と願っていたという。

一方、都内に住む富士さんは、2011年に保護猫を迎えて以来、ボランティアとも交流があり、2匹の猫を保護した人から経緯を聞いていた。

■死にかけていた子猫が元気に

8月、ボランティアから富士さんに、「元気になったから会いにおいで」という連絡が入り、富士さんは里親探しに協力しようと思い、ボランティア宅まで会いに行った。

ボランティアのところには、8匹の保護猫がいた。元気になった2匹のうち1匹は、富士さんの足に登りたいのに登れず、登ろうとしたら他の子に邪魔され、最後は箱の隙間にはさまった。見ているだけで笑いがこみあげてきた。

富士さんは息子と二人暮らしなのだが、息子も成長し手がかからなくなってきたので、猫のひびちゃんの相棒になってくれる2匹目の猫をちょうど探していた。そして次の子も保護猫にすると決めていた。

「あのへその緒がついていた子が、ここまで成長したんだ。泣けるなあ。猫なのにどんくさいけど、そのギャップがたまらない」と思い、子猫を家族に迎えることにした。

■全く臆することなく家になじむ

名前は「るっち」にした。先住猫ひびちゃんとの相性を見るためにも2週間のトライアルからスタート。

るっちちゃんは、用意してあったゲージから「出せ、出せ」と訴え続けた。

「鍵を開けてしまうのではないかというくらいの勢いで、びびの様子を見ながらそっと出してみました。るっちは、びびがかわいそうなくらいマイペースで、 トイレもびびと同じところにさらっとするし、びびのベッドを勝手に使うし、息子の膝はるっちのものになりました」

悪気は何もないが、るっちちゃんはびびちゃんと遊びたくて追いかけ回した。1週間後、ひびちゃんがあきらめたのか、るっちちゃんの顔を舐めていた。トライアル終了の2週間を待たずして、るっちちゃんを正式譲渡してもらった。

「コロナの影響で大学はリモートになり、家にいなければなりません。でも、びびとるっちのおかげでストレスを感じることはありません」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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