これで気軽に一升瓶を持ち運べます…ツワモノ向けの日本酒グッズ「一升瓶ホルダー」が話題に
ツワモノ向けの日本酒グッズ「一升瓶ホルダー」がSNS上で大きな注目を集めている。
一升瓶ホルダーとは細幅織物のテープで一升瓶を固定し、鞄のように肩にかけられるといういたってシンプルな造作だが、重くてかさばる一升瓶を気軽に持ち運びでき、しかもお酌する時の手ぶれを最小限におさえられるという酒飲みにとって魔法のアイテム。
そのバツグンの性能に、SNS上では酒を愛する人々から「ああ、痒いとこに手が届く代物。肩こりそうだから酒つぐスピード速くなりそう」「御柱祭など長時間練り歩く系のお祭りの担い手の必需品になりそううな予感がする」「これ持ってみんなで花見出来る日早く来い!」など数々の称賛のコメントが寄せられているのだ。
ハードコアな酒飲みからのニッチな需要をかっさらったこの商品は、はたしてどのような経緯で世に放たれたのだろうか?製造元の本橋テープ株式会社のご担当者にお話をうかがってみた。
中将タカノリ(以下「中将」):たいへんユニークな商品ですが、商品化されるまでのきっかけや経緯をお聞かせください。
担当者:弊社は静岡県榛原郡吉田町でテープ(細幅織物)を製造しているメーカーです。お取引先は問屋さんが殆ど。
そんな弊社ですが、2015年に御殿場にて初開催されたキャンプインフェス「Acochill camp」には毎年(2020年は中止)出店させて頂いております。このイベントのオーガナイザーはOAU。そう、あの「鬼」と呼ばれている漢、Toshi-low氏率いるアコースティックバンドです。
元々、このイベントに出店できることになったのは、弊社社員AがOAUとBRAHMANが好きだったから。ライブや「New acoustic camp」にオーディエンスとして参加している中で、「何か仕事で繋がりたい!」と公私混同も甚だしく考えていたようです。
そんな中、「Acochill camp」 初開催の2か月前の2015年3月。地元静岡で「New acousticcamp」のスピンオフイベントが開催されることを知った社員Aは、コネもイベントの仕組みも知らないまま、熱量だけで問合せとして記載されていたイベンターさんに出店を直談判。その時にご厚意で出店させて頂いたご縁で、開催からずっと出店で参加させて頂いております。
社員Aは毎年、地元の日本酒をお土産に持参してToshi-lowさんに渡していました。「お土産を渡すことが恒例に出来たな」と思い始めた2017年のイベント中、Toshi-lowさんにご挨拶と共にお土産の日本酒をお渡しすると少しだけ戸惑った表情をなされました。
それもそのはず。会場を歩けばファンに囲まれるのがアーティストです。日本酒を両手で抱えながら歩いていたらファンと握手が出来ないし、ほかの方から
のお土産も受け取れません。これはファンを大切にするToshi-lowさんにとっては大問題ですよね。社員Aにとって、一瞬の戸惑いの表情がそこから1年間ずっと頭に残っていたようです。
「Acochill camp」開催が近づくにつれ、楽しみな気持ちと同時に社員Aを違和感が襲いました。「一升瓶」「ストレスフリー」「ファンサービス」そして、その年にツアーグッズとして作成させて頂いた「ギターストラップ」を上手いこと絡めて差し上げ、次こそは喜んで頂きたい。しかしこの4点を組み合わせるのはなかなか難題で、悶々とする日々でした。そして2018年の開催1週間前、ついに閃きました。「背負えば良いじゃん」と。
背負えば「一升瓶」を持ち運び出来、なおかつ「ストレスフリー」で「ファンサービス」の際にも邪魔にならないし、何よりギターストラップの柄の威力も手伝って"鬼が一升瓶を背負う"インパクトは半端ありません。皆、震え上がるに違いません。正に、鬼に金棒です。そしてその日が訪れ、挨拶とツアーグッズを作成させて頂いたお礼をしながら一升瓶ホルダーにセット済の一升瓶をお渡し出来ました。
Toshi-lowさんが笑って「馬鹿野郎」と言いながらそれを背負ってくれ、装着したまま会場内を歩いてくれたり、OAUがステージに登場する際にはギター代わりに背負って登場してくれた姿を見たら、前年の憂いが晴れました。そして終演後にご本人からまさかの細かいフィードバックを頂き、一升瓶ホルダーの商品化を決意しました。
その年の夏には、国産にこだわったアイテム展開や、日本の伝統工芸品をいかしたものづくりを企画し新しい価値を創り続けているELNESTが別注で作成してくれ、即完売。商品化にあたっても色々な事をアドバイスしてくださいました。いろんな方のご縁があって完成した商品で御座います。
中将:制作されるにあたりこだわった点、ご苦労された点をお聞かせください
担当者:商品開発よりも、「背負えばいいじゃん」と閃くまでが大変でした。当時は、スタンレーさんのボトルホルダーなども世に出る前で参考に出来るもの等は一切なく、必然的にオリジナルを作り出す必要がありました。Toshi-lowさんが「一升瓶」を持ち運び出来、なおかつ「ストレスフリー」で「ファンサービス」の際にも邪魔にならない物。そして、その年にツアーグッズとして作成させて頂いた「ギターストラップ」も絡めた商品という4点をキーワードにどう形にするかが難しく…。
開催1週間前に風呂に使っているときに閃いたのですが、「これは満足して頂ける良いものが出来る!」と確信がありました。 結果、見た目のインパクトもさることながら、一升瓶に対してユーザーが感じるであろう不便な部分を何点か解決出来た商品に仕上がったと思います。
中将:商品がSNSで定期的に話題になっています。これまでの反響へのご感想をお聞かせください。
担当者:この商品を知ってもらうと同時に、開発するきっかけになったストーリーも皆様に知って頂く事が出来て嬉しいです。開発するきっかけをくれたToshi-lowさんや、あの時に出店のチャンスをくれたAcochillcamap、弊社の事を応援してくれている皆様、商品化の相談の際にも快く別注商品としてオーダーをくれたELNEST、いつもお世話になっている取扱店様、そして話題にしてくれた皆様に改めて感謝しております。
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【一升瓶ホルダー誕生に寄与した面々】
▽『Acochillcamp』
アソブ、オドロク、フジサン、キャンプ。New Acoustic Campからスピンアウトした「ACO CHiLL CAMP 2020-2021」。2021年5月15日(土)、16日(日)に静岡県御殿場市富士山樹空の森にて開催予定。
▽『OAU』
正式名はOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND。現在コンサートツアー「TOUR 2021 -Re:New Acoustic Life-」開催中。
▽『ELNEST』
井浦新がディレクターを務めるアパレルブランド。国産にこだわったアイテム展開や、日本の伝統工芸品をいかしたものづくりを企画し、新しい価値を創り続けている。
▽『本橋テープ』
テープの製造をベースに商品開発からパッケージングまでの一貫生産が特長で、ワークショップ出店なども行う。商品開発の相談やOEMにも対応。
本社所在地:静岡県榛原郡吉田町住吉3216-5
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社員の情熱あふれる壮大なストーリーの中で生まれた一升瓶ホルダー。片時もお酒を手放さず生きていきたい酒好きの方には是非おススメしたいアイテムだ。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)