家族に飼育放棄され、愛護センターに持ち込まれたアメショ、噛むからという理由は嘘だった?
アメリカンショートヘアのたま美ちゃんは、子供を噛むからという理由で家族が動物愛護センターに持ち込んだ。しかし、たま美ちゃんは、噛むどころか引っかくこともなかった。愛護センターの職員は、この子なら里親が見つかると思い、保護、譲渡活動をしているNPO法人Manaネコハウスの青島さんに連絡した。
■家族に飼育放棄されたアメリカンショートヘア
アメリカンショートヘアのりかちゃんは、関東の動物愛護センターに飼い主から持ち込まれた。若い夫婦の夫が独身の頃ペットショップで飼った猫だったが、結婚後まもなく2人の子供が生まれ、子供を噛むからとりかちゃんを持ってきたという。
センターでは簡単に犬や猫を引き取ることはせず何度も説得を試みるが、うっすら嘘だと分かっても確たる証拠がないと引き取りを拒み切れない。
案の定、りかちゃんは人を噛んだり引っかいたりすることはなかった。7歳の成猫でおとなしく、今からでも里親を探せる見込みが十分にあったので、Manaネコハウスに引き出してくれないかという連絡があった。
2020年12月中旬、Manaネコハウスの青島さんは、りかちゃんを引き取り自宅の一室で保護した。3日間何も食べなかったが、2日目にケージの扉を開けっぱなしにしておくと探検するようになり、なでることもできた。尻尾を子供につかまれたのか、尻尾だけは触るのを嫌がったそうだ。おもちゃで遊ぶと興味津々、夢中になって遊んだ。
「7歳にもなるとあまりおもちゃに興味を示さないのですが、あまり遊んでもらった経験がないのか、すごく喜びました」
■子供のいる家庭はNG
青島さんは、譲渡サイトやブログでりかちゃんの里親を募集した。何人か希望者がいたが、留守番時間が長かったり、幼い子供がいたりした。
「お子さんがいる家庭の人が飼育放棄した猫なので、同じ思いを二度とさせたくなかったんです。7歳ですし、落ち着いて暮らせる家庭がいいと思いました」
東京都に住む板谷さんは70歳。幼い頃からずっと家に猫がいる生活をしてきた。仕事も退職し、ずっと家にいる生活になり、猫とのんびり暮らしたいと思っていた。すぐ近くに住む娘さんも猫好きで、週に5日は家に来てくれる。板谷さんは、娘さんと猫を探した。
ブログに掲載されていたりかちゃんを見て、娘さんはピンときて、「あ!この子!」と思い、すぐに青島さんに連絡した。
板谷さんが娘さんと一緒にりかちゃんに会いに行くと、人懐っこいりかちゃんはすぐにすり寄ってきてくれた。初対面なのに怯える様子はまったくなかった。板谷さんは高齢の単身者だったが、娘さんを共同飼育者とみなして譲渡が成立した。
■猫を迎えて生き生きとした毎日に
2021年1月中旬、板谷さんはりかちゃんを迎えに行った。先代猫の名前がタマ、タマ、茶陀麻(チャダマ)、徳麻とずっとタマをつけていたので、この子にもタマを付けよう、女の子なのでたま美にしようと思ったという。
たま美ちゃんは、最初、家具の隅に隠れてしばらく出て来なかったが、翌日にはごはんも食べたり、部屋に出てきて家中を探検したり、オモチャでも遊んだりした。1週間もたつとずいぶんなれてきた。
板谷さんは外出する機会が減っていたが、娘さんは毎日にように家に来るようになり、たま美ちゃんが来てからは毎日が明るく楽しくなったという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)