神戸の老舗ギョーザ店「ひょうたん」が劇的復活! 一度は閉店…ファンが支援 皮のもちもち感も再現

神戸市の老舗ギョーザ店「ひょうたん」元町店が2月8日、営業を再開した。1957年(昭和32)創業で、メニューは八丁みそベースのみそだれで食べるギョーザとビールなどのドリンクのみ。コロナ禍などで昨年6月に閉店したが、ファンの声や企業の支援もあり劇的復活を果たした。

おなじみだった赤いのれんが、再び店先にかかった。創業者の孫で、15歳から同店で働く店長の長塚仁孝さん(41)は「ウルッときたが、泣くのは三宮店が開いてから。古き良き所を残して、皆さんとともに新しいひょうたんを作り上げていけたら」と感無量。開店を待ちわびる客の行列に頭を下げ、営業再開を告げると大きな拍手が起こった。

一度は、のれんを下ろした。昨年4月に発出された緊急事態宣言を受け、約1カ月半休業。その後、ギョーザづくりを担ってきた創業者の息子で、長塚さんの伯父が病に倒れる不運にも見舞われた。家族での運営が立ち行かなくなり、設備の老朽化もあって閉店を決断した。

長塚さんは「寂しかった。生活の一部で、心にぽっかり穴が空いたようだった」と振り返る。閉店後は休養するつもりだったが、ニュースなどでひょうたんの閉店を知った常連客からの悲鳴が殺到。「力になる」と、再開を望む声も多く寄せられた。「地元に愛されてきたと強く感じた」と復活を模索し始めた。

店のファンのひとりで、飲食店経営や再生を手がける大阪市の会社・ZIPANGUの布施真之介社長(37)が支援に乗り出した。「神戸からひょうたんをなくしてはいけない。店と味を守りたかった」と、同社が経営に参画。まさかのクローズから約8カ月あまりで、再開にこぎつけた。

ギョーザを製造していた長塚さんの伯父は、その後亡くなった。復活にあたって、味の継承が大きな壁になった。こだわったのは、ジューシーなあんに合う皮。秘伝のレシピをもとに約1カ月半「限界まで、焼いて、食べて…を繰り返した」という。試行錯誤の末、以前のような皮のもちもち感を再現。老朽化していた厨房設備も新調した。

長塚さんは再オープン当日、創業者の息子だった父の遺影を前に「頑張ってくる」と手を合わせた。「緊張はあるが、お客さんが『おいしい』と言ってくれたらうれしい。コロナの時だからこそ、いいニュースを世間に出せて、周りが盛り上がってくれたら」と、真新しい制服に身を包んだ。

1人前7個390円の値段とメニューはそのまま。カウンターのみの元町店は感染防止対策のためパーテーションで仕切り、8席から6席へと減らす。行列に並んでいた大阪市の講師堀井洋一さん(45)は「感動している。大学生の時に、ここのギョーザにハマった」。ギョーザにハマりすぎて、同市にギョーザ店を開店するという。

JR三ノ宮駅高架下にある三宮店も、2月22日に再オープン予定。長塚さんに次々と「おかえり」「頑張ってよ」と声をかける客の姿が、ギョーザを焼く鉄板のような厚くて熱い絆をうかがわせた。

(まいどなニュース/デイリースポーツ・杉田 康人)

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