出身地のお好み焼きソース巡り一触即発…オタフクソースが“仲裁”「楽しい団らん1番です」
漫画「お好み焼きパーティーで戦争が起こる日記」がネット上で注目を集めています。作者はツイッターで不定期に漫画作品を公開する「ミャンマーさん太郎」さん(@tenrai_ha)。投稿後7.9万いいねを集め、ついにソースメーカーの公式ツイッターアカウントが反応するほど。投稿者さんとメーカー担当者に話を聞きました。
■ソースで不穏な空気に?
実はこの漫画はノンフィクション。作者のミャンマーさん太郎さんが参加したお好み焼きパーティーでの出来事でした。
参加者3人はホットプレートを囲み、持参したお気に入りのソースを取り出します。中部地方出身者はコーミソース(本社名古屋市東区)、中国地方出身者はオタフクソース(本社広島市西区)、関東地方出身者はブルドック中濃ソース(本社東京都中央区)。
三者三様のソースを持ち寄った3人の間には「…は?」「は?」「はぁ?」と不穏な空気が流れます。ここで思い出します。作品のタイトルが「お好み焼きパーティーで戦争が起こる日記」だったことを。
■オタフクソース「楽しい団らんのお時間を」
張り詰めた空気を破ったのは、漫画にも登場するソースメーカーの1つ、オタフクソース(広島市西区)でした。仲裁に入るかのごとく返信します。
「味比べをするなど、楽しい団らんのお時間を過ごしていただくことが、1番ですよねっ。欲を申せば、「お好み焼課」という部署をつくって、お好み焼の研究をし、お好み焼への愛を語れば止まらない。そんな弊社のお好みソースをたくさん使用していただけると嬉しいです」(オタフクソース\お好み食べよ!/【公式】@Otafuku_sから引用)
「公式キター」「公式が乱入」「まさかの公式」と場の空気を和ませた同社に話を聞きました。
ーーミャンマーさん太郎さんの作品ではソースをめぐり一触即発という空気でした。やはり出身や居住地域とソースには深い関係があるのでしょうか?
オタフクソース:「社内には広島県出身者が多いですが、別の地域出身の社員に聞くと、地元でよく食べられているソースの味も好きという声があります。やはり、子どものころに慣れ親しんだ味ということが関係しているのではないでしょうか」
確かに投稿主ミャンマーさん太郎さんも取材の中で、「私は中部出身のため、コーミソースが1番思い入れのあるソースです」と地元ソースへの思いを語っていました。
ーー全国のソース分布についても調査を?
オタフクソース:「いろいろなデータを参考にして広がりを調べています。例えば、カテゴリーごとでは、東日本では『中濃ソース』、中部では『ウスターソース』、近畿より西(近畿・中国・四国・九州)では『お好みソース』が多い傾向となっています」
■「お好み焼課」だけじゃない「お好み焼士」も
ところで「お好み焼課」ってどんなお仕事なんでしょうか。
オタフクソース:「1998年に発足し、所属社員は9人。おいしい作り方などのお好み焼の研究、一般消費者に向けたお好み焼教室の講師、プロを目指す方々へ向けたお好み焼店開業研修の講師など、お好み焼の魅力を追求し、広めていく活動が仕事です。当社では、おいしさや栄養、楽しさなど魅力的なお好み焼の文化を広めることを1つの使命としており、それを実践しているのがお好み焼課です」
さらに同社には、15年続く社内資格「お好み焼士」制度があることもわかりました。「資格取得が昇格要件の1つにもなっており、ほとんどの社員がチャレンジする資格です」。
今年2月に発表された内訳は、グランドマイスター1人、マイスター3人、コーディネーター(中級)150人、インストラクター(初級)358人。グランドマイスターには同社顧問が就任。新たにマイスターに昇格したうちの1人は「お好み焼課」所属の社員さんでした。
ちなみに中級の条件は、「設備や経営ノウハウなどの知識を有し、審査員の質問に応えつつ、広島・関西お好み焼をそれぞれ3枚ずつ同時に焼くことができる能力」。高度な知識と技術が求められることに驚きます。
■漫画の結末は…
そう言えば、ミャンマーさん太郎さんの実録漫画の続きが気になります。ミャンマーさん太郎さんに尋ねると続編の発表予定はないそうですが、争いの行方を教えてくれました。
「結局、みんなでそれぞれのソースで食べ比べをしました」
よかった、お好み焼きだけに丸く収まっていました…!
(まいどなニュース・金井 かおる)