「呪術廻戦」夏油傑のアイテムにそっくり…SNSで意外な脚光を浴びる山梨銘菓「くろ玉」
「澤田屋の事務所はざわついています。今朝オンラインショップの受注画面を開いたら、驚愕の注文数。」
山梨県の老舗製菓店「澤田屋」の銘菓「くろ玉」がSNS上で大きな注目を集めている。その理由は人気漫画「呪術廻戦」(集英社)のキャラクター、夏油傑(げとう すぐる)が呪術を使う際に用いるアイテムそっくりだから。
黒光りした見た目と言い、手のひらに収まるサイズ感と言い、これはまさしく夏油傑の玉…。そのあまりのそっくりぶりに「呪術廻戦」のファンとおぼしきSNSユーザー達からは「五条、夏油の過去編までまだ時間があるので!!ぜひコラボしてください!お願いします!!!」「な、なんだこれは…最高なんだが…傑のコスプレする時に食べたい…君の名は黒玉ぁぁぁぁぁぁ!!どこにいるのぉ?」「え!!!昨日親がこれかってきました(笑)。夏油になりきって食べます(笑)」など数々の声が上がっているのだ。
くろ玉を製造する株式会社澤田屋の広報ご担当者にお話をうかがってみた。
中将タカノリ(以下「中将」):くろ玉がSNS上で大注目を浴びていますが、「呪術廻戦」についてはご存知だったでしょうか?
担当者:漫画好きなスタッフは知っていましたが、知らなかったり読んだことない人の方が多かったです。私自身も知りませんでした。弊社の社長も知らなかったので、すぐに購入し全巻読み終わったところです。今回のことでみんなで楽しみながら読み始めています。
中将:くろ玉とはどのようなお菓子なのでしょうか?
担当者:くろ玉は昭和4年から販売しているお菓子です。真っ黒な外側の正体は、黒糖の羊羹です。沖縄県多良間島産の黒糖を使って作っています。
中の緑色は、うぐいす餡です。白餡を加えず、青えんどう豆だけでつくるうぐいす餡なので、豆本来の風味を楽しめます。
豆の食感も楽しんでいただきたくて、別煮した青えんどう豆も加えています。うぐいす餡と黒糖羊羹がとてもよく合い、やさしい甘さと風味を感じます。
炊いたうぐいす餡を丸めて羊羹がけをするという、シンプルですが繊細なお菓子です。火をかけた羊羹の鍋にあん玉を放り込んで羊羹がけをし、ひとつひとつ手作業で作っています。
中将:今回の反響へのご感想をお聞かせください。
担当者:思いがけない出来事でした。澤田屋は今年で110年を迎えるお菓子屋ですが、まだまだ認知度は低いです。大量製造できないので、販路は絞ってやってきていますが、このようなきっかけをいただいて、幅広い年齢層の方に知っていただいたことをとても嬉しく思っています。これからも真面目に美味しいお菓子をつくっていかなければいけないと、改めて奮い立たせられました。「呪術廻戦」という漫画や、拡散してくださった方に感謝の気持ちでいっぱいです。また、くろ玉が知られて嬉しいと言って下さる、昔からご愛顧いただいているお客様にも改めて感謝しています。
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「呪術廻戦」のブームが、誕生から90年を超える山梨のご当地銘菓にスポットを当てるとはなんとも愉快な話だ。
なお澤田屋では昨年秋からくろ玉の季節限定玉菓子を開発中。3月4日には第3弾目となる「いちご玉」が春限定玉菓子として発売予定。
山梨県産のいちごをたっぷり使い、中は、白餡、苺果汁、ルビーチョコレートなどを加えた、洋を感じるあんこ。外は、いちごの果肉も加えているので、つぶつぶの食感も楽しめるいちごの羊羹。別添えのいちごソースで、2通りの食べ方を楽しめるという。黒くはないがこれはこれで美味しそうなので、ご興味のある方はぜひチェックしていただきたい。
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▽「株式会社澤田屋」概要
本社所在地:山梨県甲府市向町375
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)