先日の大地震でも飛騨地方は震度ゼロ…まるで「山神」がいるみたい!?  飛騨山脈の地震減衰効果に注目集まる

「やっぱり飛騨山脈に山神おるやろ…」

2月13日に福島県沖を震源に発生し、最大で震度6強を記録した地震で、なぜか岐阜県飛騨地方ではほとんど揺れを感知しなかった現象がSNS上で大きな注目を集めている。この現象を指摘したのは高校生気象予報士の「走る人参」さん(@Runninzin)。

気象庁が公開している地震情報マップを確認すると、周囲の長野県、富山県、岐阜県美濃地方では揺れを感知しているのに、たしかに飛騨地方だけが綺麗に震度0。

走る人参さんの指摘に対し、SNSユーザー達からは「『飛騨山脈下の地震波異常減衰と低速度異常体』という論文によると、"異常減衰の原因は、飛騨山脈直下の地殻浅部に存在する低速度異常体にある"らしい。」「長野で震度6か何かあったときも、飛騨は揺れてないってときがあったのでプレートの境目の関係とかだと思ってます」「高山とかちょくちょく小さい地震あるけど神様がいるからそれだけで済んでるのかもね(笑)」「フォッサマグナの存在を大きな地震の度に納得させられる富山県民です…」など数々のコメントが寄せられている。

走る人参さんにお話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):飛騨山脈が地震被害を遮った原因についてどうお考えになりますか?

走る人参:私は地震の専門家ではありませんが、北海道大学の方の研究によると飛騨山脈の下に地震波速度が非常に遅い領域(低速度異常体)があるためとされています。

つまり、飛騨山脈の下に密度の小さな物質があり、それが地震波を減衰させる要因と考えられます。

中将:地震波の減衰以外にも飛騨山脈が飛騨地方にもたらしている効果はあるのでしょうか?

走る人参:飛騨山脈が育む自然の恩恵として、おいしい天然水があります。そして火山が多く、そのため温泉にも恵まれています。飛騨地方に来た方が観光やスキーの後で寄ったりできますし、飛騨地方の経済的にもとてもプラスになっていると思います。

この山に1番守られているのは関東なのかもしれません。特に冬は関東では晴れが多いですが、これは飛騨山脈を含む日本アルプスが日本海からの雪雲をガードしているためです。その分、飛騨山脈では立山黒部アルペンルートのように平気で10m以上積もります。

中将:今回の反響へのご感想をお聞かせください。

走る人参:私は気象予報士として、やはり災害での死者やけが人がゼロになって欲しいと願っています。その道への第一歩として、地学についてもっと人々に関心を持ってもらう必要があると考えています。普段ほとんど注目されない地学に対して、今回多くの方に関心を持っていただきとても嬉しく思います。

   ◇   ◇

走る人参さんは現在、高校生気象予報士としてTwitter上で気象を中心とした地球科学に関する情報を発信中。地球科学は日常生活の中ではあまり注目されないが、災害などに見舞われた際にはその知識の多寡が運命を分けることもある。ご興味のある方はぜひチェックしていただきたい。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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