「ブーブー」が死語になる日も近い?いや、もうすでに?…クルマの音はどんどん静かになっていますよね

 「幼児語」や「育児語」というものがあります。犬をワンワン、猫をニャンニャンと呼んだりするあれですね。そしてクルマはブーブー。いったい何でブーブーなんでしょうか?

■そもそも幼児語って?

 幼児語というのは、まだ耳やことばが未発達な小さい子にもわかりやすいように、また話しやすいように考えられたことば、または幼児が自然に何かを表現しようとして発しがちなことばですよね。

 あたりまえですが、その対象の「見た感じ」とか「音」とかを、そのまんま捉えてシンプルな発音にしたものが多いのでしょう。

 ワンワンやニャンニャンみたいに鳴き声をそのまま、なんていうのはとてもわかりやすいです。他に音でいうと消防車をウーウー、救急車をピーポーと呼ぶのもメジャーですよね。大阪では手こぎ舟のことをイーコンコと言ったりもしました。これなどはたぶん、漕いでるときの音とか動きなんでしょう。

■クルマがブーブーと呼ばれた理由を考えてみる

 さて、本題に入ります。自動車のことをブーブーと呼ぶ件。単純に考えてこれは二通りの音が考えられます。ひとつはエンジンの排気音。もう一つはクラクションの音。どちらもありそうですね。

 たとえばクラクション(本当はクラクションは商品名で、警音器またはホーンというのが正しい)だとすると、昔はラッパの後ろにゴムの付いた、あの「ぱふぱふー」と鳴るものがクルマに付けられていたというのんきな時代があったそうです。それだと確かに感じが「ぶーぶー」と近いような気もしますね。しかし一方で、そんな古い時代のことをいまも引きずっているかな、という気もします。

 エンジンの排気音だとすると、これはまさにちょっとむかしのクルマはそういう音がしていたなあ、という記憶があります。たとえば昭和50年の排ガス規制前はマフラーに触媒の付いていないクルマが普通に走っていましたし、排気音はいまほど静かではなかったように思います。そして変速もマニュアルミッションが多かったので、発進すると「ぶーっ、ぶっ、ぶぶーっ、ぶぶううー…」という、ギアチェンジの際の継ぎ目のある音がしていました。

 おそらくこれが「ブーブー」のルーツだろうと筆者は思います。

 ちなみにこれは幼児語からは離れるかもしれませんが、地域によって原付やバイクのことを「バタバタ」または「バタコ」と呼んでた時代があります。これは当時主流だった単気筒や二気筒のエンジンの音から来てる野はまず間違いないですよね。

■国によって聞こえ方は違うが、クルマの音はどんどん小さくなっている

 日本では犬はワンワンと鳴きますが、英語の国ではバウワウと鳴くそうです。クルマの排気音も日本ではブーブーですが、英語の国ではズームズームなんだそうです。むかしマツダがCMで「Zoom-Zoom」といってましたが、あれですね。いまもマツダのブランドコンセプトなんだそうです。

 ただ、オートマチック車が主流になって、さらに無段階に変速するCVTなどが普及した現在、クルマのエンジン音は「ブーブー」ではなくて「ブウウーー」という連続音になってますよね。さらに最近では各メーカーともEV、電気自動車への移行がトレンドになっていて、2030年、いやうちは前倒しで2025年には、というような動きが活発です。

 クルマはどんどん無音で走るのが当たり前の時代になっていくのでしょう。

 テレビのチャンネルを回す、VTRを巻き戻す、ふるえる指先で回すダイヤル、そういった表現がもはや通じない世の中です。クルマがぶーぶーいわなくなったいま、ブーブーという言葉ももはや死語なのかもしれません。さらにこの先、自動運転車が当たり前になってくると「ハンドルを握る」とか「アクセルを踏み込む」なんていう表現も過去のものになってしまう、そんな時代もそう遠くないのかもしれません。

(まいどなニュース特約・小嶋 あきら)

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