「葉にんにく」って知っちゅう? 一見ニラだけど特徴ある香り…野菜の宝庫、高知が誇る“幻の野菜”

一見ニラだが、ニラの葉より幅広で、ハリと厚みがある。長さは40~60センチ。根本は白く少しふくらみがある。葉を刻めば、ほんのり立つにんにくの香り。これが、四国は高知県特産の「葉にんにく」。ほぼ県内で消費されるため、他県民には幻の野菜だ。

高知県南国市でオクラを栽培しながら、高知竜馬空港の「空飛ブ八百屋」の旗揚げに携わり、またネットで土佐の日曜市(現「野菜屋」)の発起人でもある、堤健治さんに話を聞いた。 

■どうやって食べる?葉にんにく

 にんにくと聞けば、あの白くて丸いフォルムを思い浮かべる人も多いはず。葉にんにくの場合、土の中で丸いにんにくが育つ前に、柔らかく甘みのある若葉の状態で収穫してしまう。高知では、より葉が太りやすい品種を葉にんにくとして栽培しているそうだ。

 「香りはにんにくだけど、食べた後の匂いが残りにくいので、女性にもオススメ」という堤さん。地元ではすき焼きの材料に、また高知の伝統的調味料「ぬた」の材料にも欠かせない。

 「3~4センチの長さに刻んだ葉にんにくを、焼肉のたれでジャッと炒めるだけでおいしい。焦げ目がつくくらい火をしっかり入れると、甘さが増します。味の濃いものと合いますよ」。他にも香りを生かしたスパゲティや、中華料理の具材にもぴったりだ。

■食材の宝庫、高知県の野菜を全国へ届けたい

 堤さんは昨年10月、高知市内に野菜専門の「野菜屋」を開店し、1月から高知市内をはじめとした近隣のスーパーの軒先を借りた移動販売「野菜巻き」を始めた。葉にんにくをはじめ、えのきや椎茸、ピーマンなど、地元産の新鮮野菜を豚肉で巻いて焼く、野菜巻きを販売する。

野菜をくるむ豚肉は、高知ブランドの「四万十米豚」を使用。脂が甘くてうまいと評判の米豚は、四万十川上流で育てられる薫り高いブランド米「仁井田米(にこまる)を飼料に育った豚だ。焼けた野菜巻きは、「土佐の塩丸」という、これも手間ひまかけて作られたスペシャルな塩でいただく。

一番人気は、やっぱり葉にんにく。旬は11月から3月という期間限定の味だ。

 他ではあまり食べられない野菜や山菜が、一般家庭の食卓にのぼる高知県。たとえば、かつては日本各地で食べられていた「いもの茎」や「イタドリ」は、下処理がめんどうと敬遠され、今ではすっかり珍しくなったが、高知ではまだまだ現役だ。

「色の鮮やかな『イタドリ』は、高知の居酒屋メニューの定番。高知ならではの野菜を出荷する際は、レシピや食べ方といった食文化ごと伝えるようにしている」という。

 高知でしかできないことをやろうとしたら、農業に行き着いたという堤さん。優れた農業技術をもち、現在のようなビニールを使用した促成栽培ハウスを日本の中でも先駆けて確立させた園芸王国高知県から、葉にんにくをはじめ自慢の野菜たちを全国に届けたいとがんばっている。

(まいどなニュース特約・國松 珠実)

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