生後間もなく飼い主に保健所に持ち込まれた子猫、先住猫2匹は弟の面倒見が良く「本当に頼もしい」
保健所では、基本的に動物の引き取りは行っていないが、やむを得ない事情がある場合に限って受け入れている。生後間もない子猫のかいくんは、「捨ててください」と言って飼い主が持ってきた。
■「捨ててください」と言われた子猫
2020年10月、神奈川県の保健所に生後間もない子猫を飼い主が「捨ててください」と言って置いていった。保健所では、そう簡単に動物を引き取るわけではないが、飼い主にはまったく育てる気がなかった。まだ目が開くか開かないかくらいの子猫で、体重は200gしかなかった。保健所から連絡を受けたミルクボランティアが引き出して育て、生後2カ月になった時に里親を募集した。
2019年6月に2匹目の保護猫あおくんを迎えた小川さんは、あおくんが掲載されていたジモティーというサイトを見るのが日課になっていた。いつものように見ていたら、あおくんが子猫の時にそっくりのハチワレ猫が掲載されていた。ミルクボランティアが育てた子猫だった。小川さんはミルクボランティアと同じ神奈川県に住んでいたため、「きっとこれは運命!」と思い、夫に3匹目を飼っていいかと相談して、「2匹も3匹も変わらない」ということになり、子猫に会ってみることにした。
■お見合い中、腕の中で眠る子猫
子猫を始めて見た時、小川さんは「なんでこんなに小さくてかわいい子を捨てられるんだろう。命をなんだと思っているんだろう」と、悲しい気持ちになったという。子猫は、お見合い中ずっと小川さんの腕の中で眠っていた。後日、正式に子猫を譲渡してもらうことになった。
ミルクボランティアがドイツ語で皇帝を意味するカイザーという名前をつけていた。小川家の猫の名前はひらがな2文字なので、カイザーから2文字取ってかいくんにした。
11月25日、かいくんを迎えたが、さすがに初日は戸惑いを隠せず、トイレもしなかった。しかし、翌日にはごはんを食べ、おもちゃで遊び、トイレもしたので一安心したという。
■末っ子かいくんと2匹のお兄さん猫
お見合いをした時には大人しそうに見えたが、かいくんは先住猫のむぎくんやあおくんに向かっていく暴れん坊将軍。やられても降参しないで、顔に向かって飛びかかっていく。
一番年上のむぎくんは、ちびっこかいくんと上手に遊ぶ。寝ている時にかいくんに尻尾や顔を噛まれても怒ったことはない。2番目のあおくんは、かいくんがテーブルクロスをかじるなど悪いことをすると、すぐに走ってきて叱ってくれる。
「むぎは野良出身なので人が苦手だが、猫とのコミュニケーションは上手。弟たちの面倒をよく見てくれるので、心強く思っています。あおはまだ1歳なのに、私の代わりにかいをしつけてくれて、本当に頼もしいです」
小川さんは、それぞれに役割があってバランスが取れているように思えるという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)