鉄道会社なのに自転車操業!?…「諦めない」銚子電鉄の魅力は無限大!
私・マグナム小林の地元千葉県には、ローカル私鉄がいくつかあります。その中でも小さいのが銚子電鉄。赤字経営の私鉄で、社長曰く「電車の会社なのに自転車操業です」。鉄道事業でなく、ぬれ煎餅やまずい棒といったお土産で急場を凌いでいるのは地元では有名な話です。社長の経営理念は「諦めない経営」とのこと。
この銚子電鉄の車両は、赤字経営だけあってか車歴40年以上の電車ばかり。お世辞にも乗り心地は良くはありませんが、コトコトコトコト走る姿はいかにもローカル私鉄という感じで、我々鉄道ファンからすれば堪らない風情です。
実は12年前、まだうちの子供たちが生まれる前に家内と銚子電鉄の旅に行った事があります。私の趣味に家内を付き合わせただけですが、夫婦の良い思い出になりました。今回は夫婦で楽しんだ銚子電鉄の魅力を紹介したいと思います。乗り鉄冥利につきる路線でした。
まず銚子駅に着くと、JRのホームの先の方に小さな風車小屋のような建物が見えます。その先が、お目当ての銚子電鉄・銚子駅です。電車は1時間に1本程度。それに揺られ、一路犬吠駅に向かいます。
犬吠駅は恐らく銚子電鉄の中では一番大きい駅です。と言ってもそんなに大きい訳ではありません。現在の経営者の以前、内野工務店が銚子電鉄の経営をしていた時にポルトガル風の建物に駅舎を改装しました。ぬれ煎餅、まずい棒や銚子の土産物などが売られています。
そこから周辺の観光地へは徒歩で。というか徒歩でしか行けません。まずは国の重要文化財・犬吠埼灯台へ。建てられたのは1874年。今から140年以上前です。
そして地球が丸く見える丘公園へ。確かに高い建物が全くないので地平線、水平線が丸く見えます。
地元のホテルで一泊。窓から日の出が見えるので、日の出の10分前に起こしてくれます。海から登る日の出は初めて見ましたが、素晴らしかったです。
翌日は、有名な観音駅のたいやきから。そのたいやきは、現在では犬吠駅で販売中だとか。そこから仲ノ町駅へ。銚子といえば醤油も名物。ヤマサ醤油の工場を見学します。記憶に残っているのは醤油味のソフトクリームです。意外かも知れませんが、なかなかの美味でした。
そして一番のメイン、仲ノ町駅の車庫の見学です。
当時は今の旧京王の3000形が伊予鉄からくる前で、同じく旧京王の2000形が伊予鉄から来たばかり。元銀座線の1000形、1950年製造で今は終点の外川駅に留置されている800形がまだ現役でした。150円払い迷惑さえかけなければ、車庫内は写真の撮り放題。
一番のお目当ては1922年ドイツ製のデキ3。今は動いていませんが、昔はこの小さな電気機関車が醤油をのせた貨車を運んでいました。私のテンションが上がるのにつられて、家内のテンションもつられて上がっていたのを思い出します。
このように私たち夫婦へ素晴らしい思い出をもたらしてくれた銚子電鉄が、またもやピンチです。コロナのせいで、ただでさえ少ない乗客が更に減ったのです。
この危機に銚子電鉄が考え出したのが、クラウドファンディングによる映画製作。その名も『電車を止めるな!』です。タイトルは完全にあのヒット映画のパクリですが。
先日、映画を観てきました。自ら超C級映画(銚子の駄洒落)と称している割には、かなり面白い映画でした。鉄道ファンでなくても楽しめるので、上映館は限られますが、ぜひ観て頂きたいです。
銚子といえば漁師町ですが、最近は街全体が寂れ、若者は利根川対岸の神栖に流れてしまいました。高校野球ファンとしては銚子商業の復活も期待したいものの、人材がなかなか集まらないようです。
そんな銚子の起爆剤にこの映画が、そして銚子電鉄自身がなって欲しいし、なれると思います。皆さんもぜひ、諦めない銚子電鉄に乗りに来て下さい!
◆マグナム小林(まぐなむ・こばやし) 1971年千葉県千葉市に誕生。1994年8月、立川談志に入門、2000年8月上納金未納のため破門。以降、バイオリンエンターテイナーとして活動を開始。擬音ネタや東京節にあわせたなぞかけ、バイオリンとタップダンスをあわせた芸で多くの聴衆を魅了する。落語芸術協会と東京演芸協会に所属。千葉市立千葉高校時代には野球部のキャプテンを務めた。プロレスや競馬にも造詣が深い。