双子誕生!授乳に追われ、外出できず…怒涛の乳児期、どう乗り越える? 産後うつ状態になったママの経験

双子の育児は大変だといわれますが、育てたことのある多くのママたちが「最も大変だった時期」としてあげるのが乳児期です。双子の赤ちゃんを虐待してしまったという痛ましいニュースもたびたび耳にします。私自身も双子を出産しましたが、子どもたちの乳児期に「うつ状態」と診断され、医療機関や行政から面談などを受けてきました。この時期の育児を乗り越えるために気をつけたいポイントを、みなさんの経験などから考えてみたいと思います。

■実は双子は虐待リスクが高い

実は双子は虐待のリスクが高いということが、厚生労働省の調査研究事業でも明らかになっています。2018(平成30)年3月に日本多胎支援協会がまとめた調査によると、「多胎児は単胎児に比べて 1.3倍虐待死の発生頻度が高まる」と推定されています。

この数を家庭という単位で計算した結果、双子や三つ子など多胎児の育児をしている家庭は「単胎育児家庭に比べて、2.5 倍虐待死の発生頻度が高まる」と推定されたのです。

なぜ、双子や三つ子、いわゆる多胎児の虐待リスクが高いのでしょうか。調査をした日本多胎支援協会では虐待リスクの最大の理由として「乳児2人は大変」であるということを挙げています。

乳児期は頻回授乳が必要となります。これに加えて泣いている我が子に対して「なぜ泣いているのか」の理由を推測し、あやすということをしなければなりません。特に乳児期は言葉も話せないですし、なぜ泣いているのかが分からないということもほとんどです。そのため、試行錯誤した結果、身体的疲労だけでなく精神的疲労も蓄積されていきます。睡眠不足と疲労が蓄積されていった結果、虐待につながっているのではと考えられています。

日本多胎支援協会では、大変な時期を「0~4カ月」と「4カ月~12カ月」に分けています。この理由として、4カ月という時期は、双子ママたちが里帰りを終えて家に戻り子育てを始める分岐点にあたること、離乳食について検討するなど子どもに対してやることが増えてくる時期であるためとしています。

■我が家の双子の乳児時代

私自身も双子を出産しましたが、子どもたちの乳児期に「うつ状態」と診断されました。

我が家は夫の職場に理解があり、3カ月間の育休を取ることができました。しかし、両家の実家は離れていたこともあり、実家からの支援は全くありませんでした。そのため、ほぼ夫婦2人で子育てをしていくのですが、生後0~2カ月の時期に疲労と心労でうつ状態になっていると診断され、行政からの提案で1歳になるまで週に2回、産後ヘルパーを活用していました。

このおかげで負担がだいぶ楽になり、生後6カ月頃よりうつ状態から回復し、産後ヘルパーさんに手伝ってもらいながら1歳を迎え、今に至ります。

■双子の乳児期に何してた?

生後0~3カ月は大げさではなく本当に授乳しかしていません。授乳→おむつを替える→泣く→あやす→授乳…というような流れで、気が付けば1日たっていました。

夫も育休が終わった後は、自分たちのご飯はほとんどデリバリーに頼っていました。多くのママさんたちは生後1カ月を過ぎたら外にお散歩に出て自然に触れさせて…というようなことをされているかもしれません。ですが、私が1人で双子を連れて初めて外出をしたのが生後7カ月頃。それも徒歩5分の公園に行って30分で戻ってくるという程度でした。

家族でどこかにお出かけということもほとんどなく、生後6カ月までは乳幼児健診や病院に行くのが家族そろってのお出かけという感じでした。里帰りをせずに夫婦2人で子育てをしてきた経験、そしてうつ状態と診断されたことがあるからこそ、双子ママさんが乳児期を無理なく乗り越えることの大変さを実感しています。

■ママのがんばりすぎは絶対にNG!とにかく頼れるものに頼って!

まず声を大にして言いたいのが、とにかく「ママは頑張りすぎないでほしい」ということ。そして、社会資源など「頼れるものはぜひ活用してほしい」ということです。

単体の妊娠よりもさまざまなリスクを伴う双子では、「管理入院」といって妊娠8カ月前後から入院しながら経過観察を行うことが一般的です。管理入院中、多くのママが活動が制限され、だいたいの人はベッド上で安静に…と指示されていると思います。そんな生活を約2カ月も過ごせば全身の筋力はかなり低下しています。

そんな状況を乗り越えて、帝王切開で子どもを産みますが…帝王切開は手術です。つまり、手術をしてすぐに子育てをしなければならなくなるのです。

さらに、妊娠中から大きなおなかで苦しくてなかなか寝られず、休めないという日が続いていたかと思います。睡眠不足、手術、全身の筋力の低下…そんな疲労困憊な状態から、「新生児2人」の子育てをスタートしなければならないのです。

私自身も2.5kg程度の我が子が、全身の筋力低下や手術後の傷の痛みにより「すごく重たく感じた」ことを覚えています。ですから、泣かせないようにしなきゃ、子どもの要求に答えなきゃなど思わずに「生きていればOK」と考えて、とにかく頼れるものには頼るべきなのです。

私以外の双子をもつ先輩ママもさまざまな方法で乗り切っていました。

   ◇   ◇

▽遠方の実家には頼れないので週2回の産後ヘルパーを活用していました。そして近隣に友人が多く住んでいたので友人に1~2時間程度だけ家に来てもらい、話し相手になってもらって気分転換していました。(2歳双子ママ)

▽上の子がいるため、上の子をかまってあげれないことや上の子と同じように双子の育児ができないことに苦しみました。一度は里帰りを終了して実家に戻ったものの結局、再度里帰りをして双子が1歳になるまで実家で過ごしました。実家でおばあちゃんにたっぷりと上の子は遊んでもらっていたので申し訳ないという気持ちが解消されました。(6歳女児、3歳双子ママ)

▽夫が半年育休を取りました。ですが、子育てという点ではあまり役に立たず…(笑)。ですので、夫に家事をすべてやってもらっていました。それだけでも負担は軽かった!(2歳双子ママ)

▽家の近所に産後のショートステイやデイケアを行っている助産院がありましたので、まず産後2週間はそのショートステイにいました。毎日栄養たっぷりのご飯に助産師さんのケアつき、安心して子育てできていました。その後もデイケアを活用。夫に送り迎えをしてもらい、産後半年はほぼそこで過ごしました。やはり身近な親よりも専門家がそばにいるということが何より安心で、夫も安心していました。(3歳双子ママ)

■自分なりに育児アレンジしたら楽になったというママが多数

産後、助産師さんより育児に関する指導をされます。

双子を生んでまず指導されたのが「同時授乳」ではないでしょうか。ですが、首がすわっていない状態の子どもにはかなり難しいのです。これができず私自身は精神的に落ち込みました。今考えれば、うつ状態の始まった序章ともいえるでしょう。

しかし、1人ずつ授乳したことによって子どもたちもたくさん飲めるようになり、私自身の気持ちも楽になりました。また、こういった経験は自分だけではなく、双子のママたちにはよくあるようでした。

   ◇   ◇

▽助産師さんに絶対母乳を!といわれて頑張りましたが、2人分はさすがに出が悪かったです。それを指摘されて私もうつ傾向になりました。ですが、1日交替で母乳とミルクの日を作って混合にしたら体力的にも精神的にも楽になりました。(2歳双子ママ)

▽子が飲みたいときに飲みたいだけ母乳をあげてと言われていましたが、双子で飲みたいタイミングはバラバラ。結果として1日中、乳を出し続けるという結果に…。耐えきれなくなり、お腹が空いていようがいなかろうが2時間ごとに授乳することにしました。結果、体力的に楽になり、子育てが続けられました。(3歳双子ママ)

   ◇   ◇

助産師さんも赤ちゃんを育てるプロとはいえ、双子を産み育てたことのある人は少ないです。助産師さんのいうことをすべてうのみにするのではなく、自分のやりやすいようにどんどんアレンジをしていきましょう!

■手を抜いたって大きくなる!ママが笑顔でいることが最優先!

「手を抜いたって大きくなる!ママが笑顔でいることが最優先!」という言葉は、私自身が子育て支援センターで言われた言葉であり、救われた言葉でもあります。今双子の乳児の子育てをしていて心が折れそう、あるいはこれから双子の子育てが始まることに負担を感じているママさんにも私はこの言葉を送りたいと思います。

また、双子は単体の子よりも外出のスタート時期が遅いことがほとんどです。1カ月過ぎて「外出してもいいよ」といわれる時期であっても、外出できちゃうママはかなり少数派。その理由はママが大変だからです。我が家の双子は1歳まで週に1回支援センターに行ければいい方でした。これについて悩んでいたところ先ほどの言葉を言われたのです。

支援センターに連れてこれない、外出できない、ママ友ができない、子の友達ができなくて可哀想…と思ってしまうかもしれません。

ですが、ママの身体や心に余裕があって笑顔で過ごしていることが子どもにとっては1番です!ちなみに2歳となった我が家の双子は今現在、毎日外に出たがるようになり、友達もたくさんできました。私自身もママ友をたくさんつくることができました。外遊びもママとも作りも後からできますので、今はママの体と心の健康が最優先です!!

   ◇   ◇

▽双子は2歳までほとんど公園遊びをさせられませんでした。しかし、3歳になった今他のこと体力も遊び方も競り負けていませんので、外に出られなくても問題なかったですよ。(3歳双子ママ)

▽2歳になった今年保育園に入りました。公園などで人と関わったことがないため不安でしたが、3日くらいですぐに溶け込んでいました。小さい子の適応力はすごいですので、大丈夫!(2歳双子ママ)

   ◆   ◆   ◆

双子ママの中にはかわいい赤ちゃんの時代をかわいく思えなかった、育児が楽しくなかったとおっしゃる方も多くいらっしゃいます。自分もその1人です。正直今からでも乳児期に戻りたいとはあまり思えません。

ですが、2歳となった今、乳児期とは別の意味で大変ではありますが子育ても楽しめています。ほぼ家で過ごしてきた乳児期でしたが、成長や発達についても年齢相応です。無理に育児を楽しもうとしたり、単体の子と同じように働きかけなくても最終的にはきちんと成長してくれます。

お母さんが無理をしないことが1番です!そしてお母さんが安心して、頼れる場所を1つでも持っていてほしいなと思います。

(まいどなニュース/BRAVA編集部)

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