「涙をこらえるのに必死」のせでん卒業列車“祝電”の粋な演出に感動! 能勢電鉄に聞いた

能勢電鉄が運行する卒業列車「祝電」が注目を集めている。祝電とは2020年度に卒業を予定している沿線の学生へ向け、沿線5校の協力のもと、在校生、教職員からの祝福メッセージや、美術部員がデザインしたオリジナルヘッドマークを掲出した車両のこと。

出会いと別れの季節をいろどる粋なはからいに、SNS上では「感動する」「涙がでた」など数々の投稿が寄せられている。能勢電鉄はこれまでも「のせでんおでん電車」や「ハロウィントレイン」などユーモア溢れるイベント列車を企画しているが、この祝電はどのような経緯で生まれたのだろうか。能勢電鉄の担当者にお話を伺ってみた。

橋本菜津美(以下橋本):祝電を企画したきっかけをお聞かせください。

担当者:能勢電車をご利用いただいている地域のお客様に対し、今までとは違う形で喜んでいただけるような企画を考えていた中、新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、弊社も大きくあおりを受けました。

お客様の少ない車内や駅を目の当たりにして、能勢電車がいかに多くの方々に支えていただいていたのかを思い知り、そのような状況下でも弊社からお客様へ少しでも還元できることはないか、少しでも喜んでいただけるようなことはできないかと模索を続けていました。

そのような折、コロナ禍で様々な制限を受けた地域の学生の皆様、特に2020年度末に卒業を迎える皆様に対して何か喜んでもらえるようなことができないかという声が上がりました。

橋本:私も能勢電鉄をよく利用するのですが、コロナの影響で利用者が大きく減った時期があり寂しく感じていました。沿線に学校が多い路線なので、学生に対してうったえかける企画というのがいいですね。

担当者:そうなんです…。日々、能勢電車を通学でご利用いただいている沿線の学校様に対し、共同で卒業をお祝いできないかと提案させていただいたところ快諾をいただき、“祝電”の実現に至りました。

橋本:私は2号車の「猪名川高校」の卒業生なのですが、この企画を知ってすぐに乗りに行きました。懐かしい校舎の写真や後輩のメッセージに感動しました。

「祝電」への反響はいかがですか。

担当者:学校様側から、来年以降も実施してほしいとの声をいただきました。こちらとしても卒業シーズンの風物詩のような形で継続していきたいと考えています。また、実際に祝電にご乗車いただいたお客様からは「良い企画ですね」「涙が出そうになりました」等の非常に好意的な反響をいただいています。

運行初日、川西緑台高校を卒業される生徒の保護者の方から「娘の新しい門出に素晴らしい企画を本当にありがとうございました。そして3年間、娘を無事に運んで頂きありがとうございました。」という旨のメールをいただいた時は、やってよかったと、感無量の思いでした。

橋本:本当に素晴らしい企画をありがとうございます。実は私も乗りながら涙を堪えるのに必死でした。最後に「祝電」に乗車する際の見どころがあれば教えていただけますか。

担当者:各学校、部活、先生のメッセージはそれぞれが個性豊かなので、全てが見どころです。美しいイラストが描かれたものからユーモアに溢れたものまで、見ていて飽きないメッセージが各車両を彩っているので、可能であれば全てご覧いただきたいと思っています。また、各学校の在校生デザインによるオリジナルヘッドマークもどれも素晴らしい出来ですので、併せてご覧いただければと思います。

◇ ◇

祝電に乗りながら、学生時代に流行った楽曲をイヤフォンで聴いてみた。随分前に卒業したはずなのに、まるで昨日のことのように甦る記憶。懐かしく、少し甘酸っぱい気持ちが嬉しくて、思わず降りるはずの駅を通り過ぎてしまった。各車両から溢れるメッセージは、きっと出身校でなくても、自分ごととして感動すること間違いなし。

祝電の実施期間は2月26日から3月31日まで、1754編成車(4両編成)。ご興味のある方は運行期間中に是非ご乗車いただきたい。

(まいどなニュース特約・橋本 菜津美)

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