「踊り子」でおなじみ…特急型車両185系が定期列車から引退 兄弟車両・西の117系の活躍は続く
1981(昭和56)年のデビュー以降、長年にわたり関東圏で活躍した特急型電車185系が3月12日を持って特急「踊り子」(東京~伊豆急下田・修善寺など)から引退します。一方、西日本には185系の兄貴分にあたる117系が活躍を続けています。今回は「兄弟車」185系と117系の紹介をしつつ、117系を中心に見ていきます。
■現在見ても斬新な緑のストライプ
185系はJR東日本に所属する特急型電車です。デビューは国鉄時代の1981(昭和56)年のとき。関東エリアで活躍する2ドア直角ボックスシートの急行型電車を置き換えるために製造されました。
デビュー当時、人々をあっと驚かせたのが塗装です。当時の特急型電車の塗装は赤色とクリーム色の組み合わせが主流でした。特急「踊り子」に使われた185系の塗装は白地に緑のストライプという今見ても斬新なデザインに。その後、塗装変更もありましたが、現在はデビュー当初の塗装に戻っています。
普通車の車内は転換クロスシートでしたが、後にリクライニングシートに変更されています。その他、普通列車にも就けるように、他の特急型電車よりは幅広の扉を採用。また特急型電車としては珍しく一部を除き窓が開けられる仕様であることも話題となりました。車両の性能は快速列車に使われる近郊型電車を基本とし、最高時速は110km/hです。
長年にわたり、首都圏~伊豆間の特急「踊り子」や北関東の特急列車に使われてきましたが、2021年3月のダイヤ改正を持って特急「踊り子」をはじめとする定期列車から引退しました。
■185系の兄貴分、117系
「もう定期列車では185系には乗れないのか……」という悲しみの声が聞こえてきそうですが、西日本には185系の兄貴分、117系が活躍しています!
解説の前に185系と117系の前面を見比べてください。確かによく似ており、「兄弟車」と言われるのも納得します。117系は1979(昭和54)年に製造され、翌1980(昭和55)年に東海道・山陽本線の「新快速」に投入されました。
車内は転換クロスシートになり、従来の急行型電車よりも快適性は増しました。車内のレイアウトは一部がロングシートになりましたが、基本的には変わっていません。117系は特急型電車ではないためデッキはありませんが、2扉のため通勤電車のようにせわしくないのが特長です。最高時速は185系と同じ110km/となっています。
117系はJR西日本に所属し、関西地区の湖西線や草津線、山陽本線(岡山地区)などで活躍しています。湖西線では現在も高速運転で走り、かつての「新快速」を彷彿とさせます。また長距離列車「WEST EXPRESS銀河」に改造された車両もあります。
後輩の近郊型電車も次々と登場しましたが、もうしばらくは117系の活躍が続くと思います。「185系ロス」の方は京都もしくは岡山から117系に乗車してはいかがでしょうか。
■185系と117系に見る関東と関西の違い
185系で運行された特急「踊り子」は特急列車のため、乗車券のほかに特急券が必要でした。一方、117系で運行されていた「新快速」は特急・急行列車ではないため、特別料金は不要でした。国鉄時代の鉄道ファンからは「同じ転換クロスシートなのに何で関東では特別料金が必要なんだ!」というボヤキがあったとか。このあたりは当時の関東・関西の鉄道の違いがわかる興味深い事例だと思います。
先述したとおり、185系はリクライニングシートになり、現代の特急列車に相応しい形で特急「踊り子」からの引退を迎えました。関西から185系へは「お疲れ様でした」、117系へは「これからも頑張ってください」という言葉をかけたいと思います。
(まいどなニュース特約・新田 浩之)