意味わかる? パイナップルが「自殺」は40元、「他殺」なら50元…台湾での話です
いわゆる中国による禁輸問題で、注目を集めた台湾産パイナップル。現在、日本へ続々と台湾産パイナップルが上陸しており、2021年3月の段階での輸入予定量はすでに史上最多を更新。高い関心が続いている。
さてそんな台湾産パイナップルだが、台湾ではパイナップルが「自殺」や「他殺」されるのをご存知だろうか? しかも堂々と果物屋で「自殺40元」「他殺50元」と値段付きの看板が出されていることも! 字だけ見ると「殺しの請負い!?︎」「台湾のパイナップルは凶器になる!?︎」とビックリしてしまうが…台湾では常識。一体どんな意味なのだろうか。
■ 台湾ではパイナップルが「自殺」に「他殺」?
「自殺」「他殺」とは果物屋に似つかわしくない物騒な字面だが、その意味は全く怖いものではない。その意味はズバリ……
・自殺:持ち帰って自分でカットすること
・他殺:果物屋でカットしてもらうこと
「自分で」だから「自」で、「他人」にやってもらうから「他」と考えると、納得の言い回しだ。ということは、いわゆる中国語の「殺」には「果物を切る」という意味があるのかというと……ない。果物のカットにあえて「殺」の字を当てるのは、台湾ならではの背景があるのだ。
■「殺」の字を使うワケ
台湾で話される方言の1つに台湾語がある。その台湾語では刃物を使って果物を切ることを「刣(台へんにりっとう/thai)」と言う。読みはカタカナで表現すると「タイ」だ。
さて台湾語は基本的に話し言葉だ。そこで台湾語の表記には公用語である中国語(国語)の文字を当てることがあるのだが、「刣」には「殺す」と言う意味も含まれることから中国語の「殺(sha/シャー)」が当てられている。だからパイナップルを自分で切るのは「自殺」、果物屋で切ってもらうのは「他殺」と表現することになるのだ。ちなみに実際に台湾のニュース映像の字幕でも「タイ」と話しているところに「殺」の文字が当てられている。
さて台湾でも果物屋で「自殺」「他殺」の看板が誕生したのは近年のことで、台湾メディア東森新聞によると、台東市のパイナップル売りの男性が2014年頃に思いついたアイデアとのことだ。話題になって男性の店の売り上げは倍に! そのインパクトとちょっとブラックなユーモア性から台湾の他の地域にも広がった。現在、SNSでも「自分でパイナップルを切ってみた!」という投稿で「自殺」や「殺鳳梨(鳳梨=パイナップル)」の文字を見かけることが多い。
■プロの「他殺」の技がスゴイ
実際にYoutubeで「殺鳳梨」と検索すると、プロによるパイナップルさばきの動画が多数ヒットする。ハウツー動画から神業レベルの高速技まで実に様々! 台湾産パイナップルは芯まで食べられるが、皮を薄くむき、より多くの実の部分を切り出すにはコツがいるようだ。台湾産パイナップルを食べるときは、ぜひ参考にするといい。
(まいどなニュース特約・沢井 メグ)