猫を救いたいとの一念で建てた「猫御殿」…家を建てた工務店に捨てられていた2匹が初めての“住人”に
みけらんじぇろちゃん(12歳・メス)とこぼんくん(12歳・オス)は、猫の保護や譲渡をしていた工務店の前に捨てられていた。山形県に住む中山さんは、猫と暮らすための家を建てるほどの猫好きで、その工務店に施工を依頼、家が完成した時、みけらんじぇろちゃんとこぼんくんを譲渡してもらった。
■保護猫という言葉すらなかった時代
山形県に住む中山さんは、小さい頃からいろいろな動物を飼っていて、動物と暮らすのが当たり前だった。大人になって家を建てる時には、迷うことなく猫御殿を建てよう!と思っていた。
保健所の譲渡説明会にも参加したが、当時はやっと保護犬の譲渡が行われるようになってきたくらいで、猫の譲渡はしていなかった。猫が欲しいなら個人の飼い主さんから譲渡してもらってくださいと言われた。保護されるのはだいたい生まれたばかりの仔猫。自分でえさを食べられない子猫はその場で処分が当たり前だった。中山さんは、猫を救いたいと強く思った。
■猫御殿完成、保護猫と暮らす
中山さんは、猫と暮らすための家を建てるため、工務店に仕事を依頼した。その工務店の人は、猫を保護して譲渡していた。工務店のWebサイトに猫の様子がアップされていたので、中山さんはよく見ていたという。
家が完成した時に、工務店の人に「ぜひ猫を引き取りたい」と言うと、性格や愛称を考えて2匹の猫を選んでくれた。
2匹は、2009年2月、猫がたくさんいる店として知られていた工務店の前に捨てられていた。女の子は生後8カ月くらい、男の子は生後3カ月くらいだったという。
■ツンデレ女王様と甘えん坊の男の子
工務店の人が2匹を連れてきてくれた。部屋の隅に固まって動かなかったが、すぐにこぼんくんがおもちゃに惹かれて動き出した。猫に合わせて、なれてくれるのをのんびり待とうと思っていたが、すぐに慣れたようだった。
女の子はみーちゃんと呼ばれていたが、みーちゃんではつまらないので、「み」から始まる名前を考えた。中山さんが美大卒だったこともあり、三毛猫、みけみけ…みけらんじぇろちゃん、という名前にした。こぼんくんは兄弟で保護され、「おぼん、こぼん」と名付けられていたが、面白いのでそのまま採用。こぼんくんという名前にした。
みけらんじぇろちゃんは、ツンデレを絵に書いたような、女王様タイプ。我を忘れておもちゃで遊んだりしない。高い所から下界を見下ろすのが好きだ。テレビの中の鳥や猫に向かっていくこともある。他の猫とくっついて寝ることはほぼないが、中山さんには甘えるというより話しかけてくる。匂いはキャラメルのように甘いという。
こぼんくんは、知らない人にはびびるが、中山さんには犬のようにベタベタ甘え、いつも「抱っこしてー」と膝に乗ってくる。人の顔や手も、ベロベロなめる。中山さんの起床時間の2時間前から鳴き始め、中山さんが部屋から出てくるまでずーっと鳴いているそうだ。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)