虐待を受けていた猫はうちの子にそっくり…居ても立っても居られず迎えた猫が、今では心を開いて甘えん坊に!
いつもウインクをしているように見えるロコちゃんは、おしゃべりな女の子。ご飯がほしい時もおもちゃで遊んでほしい時も、飼い主さんに「アオーン」と鳴いて呼びます。一説にによると、よく鳴く猫は甘えん坊なんですって。
そんな甘えん坊のロコちゃんの飼い主さんは、ジャズシンガーの中垣あかねさん。いつもウインクな上に、ペロッと舌をしまい忘れることが多いロコちゃんをベタベタの甘々に可愛がっています。
先住猫のソラちゃんとも、そこそこ仲良し。「私は私、あなたはあなた」と猫の掟があるのか、それぞれ別々に中垣さんへ甘えにくるのだそう。中垣さんが見ていない時は、2匹で追いかけっこをしたりくっついて寝たりしていることも。これも猫の掟でしょうか?
中垣さんはこんな2匹が、愛おしくてたまらないよう。
ただ忘れてはいけないことがあります。ロコちゃんのウインクもペロッも、障害だということです。
実はロコちゃん、大阪府某所に捨てられていた猫。保護された時はボロボロの猫でした。ウインクは片目がないから、舌が出てしまうのは前歯の状態が悪いから。ガリガリにやせ細っていて、子猫を何度も産まされた形跡もあったよう。これらの状況から、虐待を受けていた可能性が非常に高いと保護した方や獣医さんは見ています。
そんなロコちゃんと中垣さんが出会ったのは、大阪市淀川区十三本町にある保護猫カフェ【ねこの木】です。猫好きの中垣さんは、猫とふれあいにねこの木を訪れました。そこにいたのが、ロコちゃんです。
その時は、ソラちゃんに何となく雰囲気が似ていて可愛いと感じただけでした。しかし、帰宅後にねこの木のHPでロコちゃんが虐待を受けていた可能性が高いと知ります。大きな衝撃を受けました。
暖かい家の中で幸せそうに眠るソラちゃんと、寒空の下に打ち捨てられていたロコちゃん。同じ猫で雰囲気も似ているのに、全く違う境遇に胸が痛みます。もうこうなると、居ても立っても居られません。
それから毎日中垣さんはねこの木へ、ロコちゃんに会いに行きます。その時、常にビクビクおどおどしているロコちゃんが、子猫にだけ威嚇をしているのを目の当たりにしました。それは怒りや恐怖が入り混じったもののように感じたそうです。
この時のことを振り返り、中垣さんはこう言います。
「ソラに似たロコが不幸なことは、私自身がつらいことだったんです」
ついに中垣さんの家に迎えられることになったロコちゃん。先住のソラちゃんには前もって伝えてあったのですが、やっぱり「シャー!」の洗礼を受けました。だから部屋は別々。ケージへ入るのが怖いロコちゃんには、一室が与えらえました。
ただこれも最初の10日だけ。ソラちゃんとロコちゃんは、いつの間にかおたがいのお尻の匂いを嗅ぎあい、その後は何とはなしの仲に。女の子同士の多頭飼いは難しいと聞いていた中垣さん、これには肩透かしです。
今ではロコちゃん、隙あらば誰のお膝にも乗り、すぐエア踏み踏みもしてしまう甘えん坊に。獣医さんにも尻尾をピン!としてしまうのだそう。この姿に中垣さんは言います。
「もしかすると虐待される以前は、可愛がられていた時期もあるのかも」
手酷く人間に裏切られた経験のあるロコちゃん。あのころは助けてほしいと声をあげたくても、あげられませんでした。
でも、現在は「アオーン」と鳴けば、中垣さんが飛んできてくれます。
飛んできた中垣さんが「ロコちゃん」と呼ぶと、ゴロンとお腹を見せて嬉しいをアピール。なぜかゴロンをすると左手が出てしまいます。この姿を見て、中垣さんが「可愛い」。その声にロコちゃんは、またゴロンゴロン。
寒空の下に捨てられていたロコちゃんは今、暖かい家の中。ソラちゃんと一緒に幸せそうに眠ることができるようになりました。この2匹が幸せであることこそ、中垣さんの幸せなのだそうです。
(まいどなニュース特約・ふじかわ 陽子)