別れを察した?寂しそうな様子に「2匹を引き離したくない!」…ハチワレの子猫1匹だけの予定が、兄弟一緒に家族に
太田バニラちゃんとチロルちゃん(オス・1歳)は、兄弟で保健所にいたがボランティアが引き出した。里親募集サイトで2匹を見た太田さんは、ハチワレ猫が大好きなので白黒ハチワレ猫のチロルちゃんを飼いたいと思った。しかし、兄弟の白猫の子猫と引き離していいのかという思いが頭をよぎった。
■ハチワレ猫が好き
静岡県に住む太田さんは2匹の猫を飼ったのをきっかけに保護猫活動に関わるようになり、他の猫たちも助けてあげたいという思いが強くなってきた。Instagramで知り合った猫友さんたちと保護猫についてやり取りしたり、支援したりしたことも影響して、もう1匹迎えることにした。
2019年5月26日、夫婦で譲渡会に行った。里親募集サイトに保護団体が保健所から引き出した白黒ハチワレの子猫が掲載されていたので、引き取るつもりで会いに行ったという。太田さんはとにかくハチワレ猫が大好きで、先住猫も2匹とも白黒ハチワレだった。
「白黒ハチワレの子猫は白猫の兄弟と一緒にいました。当時、1カ月半になるかならないかくらい。保健所から引き出した後、ボランティアさんのお宅で大事に育てられたので、2匹ともとても元気でした」
初めて白猫を見た太田さんは、「白猫ちゃんってなんてかわいいの!」と思ったが、先住猫が2匹いたので、引き取るのは1匹と決めていた。
■本当に離れ離れにしていいの?
しかし、太田さんは、白猫を見て、「兄弟離れ離れにしていいのか?」とふと思い始めた。「ハチワレちゃんが元気に動き回るのに対して、白猫ちゃんはおとなしく寂しそうにしていたのです。自分だけ置いて行かれるのがわかっていたのかと思うほどに、静かに隠れていました。どちらも可愛い。兄弟を引き離したくないと思いました」
ボランティアは、「普段は白猫ちゃんの方がやんちゃで元気なのにおかしいね…」と言った。太田さんは、「このまま置いていけない」と思い、夫に気持ちを伝え、説得し、2匹とも迎えることにした。
ボランティアは太田さんの気持ちを理解してくれて、「もし無理だったら白猫ちゃんは返してくれていいですからと言ってくれた。しかし、家に連れてきたら、白猫ちゃんも元気いっぱいになり、兄弟で遊んで食べて寝ていた。太田さんはその姿を見て、「本当に兄弟一緒に引き取って良かったな」と思った。
■子猫の時から育まれた兄弟の絆
家に連れてきてから、とりあえずゲージに2匹を入れてごはんをあげた。しっかりトイレもして、2匹で遊び出した。だいぶ遊んだ後、疲れたのか2匹くっついて寝てしまった。その後も元気に遊びまわりニャーニャーうるさいくらい。心配していた白猫ちゃんも本性発揮で、ハチワレちゃんよりもやんちゃだとすぐに分かるほどだった。
その日の夜、2匹の先住猫たちは、子猫たちがいることに気づいた。恐る恐るゲージに近づいて遠くから眺め、威嚇してシャーシャー言った。
2匹とも男の子だったので、甘えん坊になってほしくて白猫はバニラくん、ハチワレはチロルくんと名付けた。甘いお菓子をイメージして、甘々な2匹になるといいなと思っていた。
バニラくんは思っていたよりもずっとやんちゃで、先住猫の真似をしては、あっちこっち飛び乗ったり、走り回ったりした。一方、チロルくんは何やるにも慎重で、バニラくんができることができなかった。身体能力もバニラくんのほうがかなり上で、バニラくんが簡単にジャンプできるところも迷って、迷って慎重になり、やってみたら跳べずに落ちてしまった。
「かなりどんくさい子だなと小さい頃は思いましたが、成長するにつれ、2匹とも同じようになってきました。バニラがチロルに甘えることが多く、よくチロルがバニラの毛繕いをしています。バニラは誰にでも甘える世渡り上手な性格です。チロルは先住猫ともあまり仲良くなれないのですが、その分夫にべったり甘えるようになりました。夫の行くところはどこでもついて行くストーカーです」
バニラくんとチロルくんは兄弟のせいか絆が強い。太田さんが後に迎えた5匹目の保護猫の一番の遊び相手になってあげ、5匹目のチビが一番の先住猫に追いかけまわされていると、2匹で向かっていく。
「本当に驚くほどの唸り声で威嚇して、兄弟2匹でチビを守っている感じがします。男の子の優しさなのでしょうか」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)