獣医師が漫画で解説「猫の多頭飼育崩壊を防ぐ」には 行政や社会福祉の職員、獣医師の協力が必要
コロナ禍、孤独や孤立が問題になっています。なかには、野良猫にエサを与えて寂しさを紛らわそうとする人もいるのではないでしょうか。最初は1匹、2匹にエサを与えているつもりが、あっという間に猫が増えてしまう。多頭飼育崩壊を防ぐにはどうしたらいいのか。獣医師の橋本恵莉子さんは、漫画で分かりやすく解説しています。
■いつの間にか家の中が猫だらけ
--猫の多頭飼育崩壊はどんなふうに起こるのでしょうか。
橋本 たとえば、連れ合いを亡くした方が、寂しさを紛らわせるために野良猫にエサをあげたとします。最初は2匹だけだったのに、不妊手術をしないと、数カ月後には数えきれないほど猫が増えてしまいます。
--野良猫ということは、最初は外でエサを与えているケースもあるのでしょうか。
橋本 最初は外で可愛がっていても、猫の数が増えてきたら、近隣から悪臭や糞尿被害の苦情が来て、家の中で飼うようになるのです。最初の方の段階で、ヘルパーさんなど福祉の方が気づいて、不妊手術をしたら問題が大きくならずに済みます。
崩壊しやすい人
--エサ代や医療費だけでも大変なのではないでしょうか。
橋本 不妊手術をしない限り猫はどんどん急ピッチで増えていきます。かといって、多頭飼育崩壊する人は不妊手術代を払えないことも多く、猫の数が増えるにつれ、人間が生きていくこともままならなくなるのです。
--多頭飼育崩壊する人は、どんな人なのでしょうか。
橋本 経済的支援や介護支援を必要とする人が多いことが分かっています。高齢者とは限らないのですが、なかには生活保護を受給している人もいます。
■行政・福祉・獣医師が連携
--どこに相談したらいいのか分からないのでしょうか。
橋本 苦情を言ってくる人はいても、相談に乗ってくれる人にはなかなかたどり着けません。ヘルパーさんなど、社会福祉の人が訪問した時、だんだん猫が増えていくこと気づいたら、行政に連絡してくれると、崩壊する前に防ぐことができるのです。
私たちのような不妊手術を専門にしている動物病院に相談してもらうのもひとつの方法ですが、行政と福祉、獣医師が協力するシステムづくりが求められています。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)