選挙で投票しようとした猫を保護 大天使ミカエルの名をもらい、家族を助ける賢い子に!
静岡県東部に住む13歳のミカちゃんは、とても賢い猫。自分にとって必要だと感じたら、爪切りもお薬もおとなしく受け入れます。でも、その前に納得できる説明をしなくてはなりません。
説明はお母さんの役目。優しく語り掛けると、ミカちゃんはふんふんと耳を傾けるのだとか。そもそも、これ自体が猫とは思えない賢さです。もちろん納得できないこともあるので、そんな時は知らんぷり。このあたりは猫ですね。
保護された当初は性別が分からなかったため、性別のない大天使の名前をちょうだいし「ミカエル」と名付けられました。のちに性別が分かったため、「エル」が消えて「ミカ」となったそう。とても高貴です。
実は保護された経緯も、何だか高貴で賢い感じなんです。なんと衆議院選挙の投票をしよう(?)として、何度も投票所に入ろうとしては出されを繰り返していたそう。投票は国民の意思表示だとどこかで覚えたのでしょうか。生後約2カ月の時でした。
この様子を見ていた人が保護をし、新しい飼い主を探します。ミカちゃんは野良猫だったものの、ダニはおらず耳もきれいな状態。人間の食べ物を奪うこともありません。高潔です。
最初、今の飼い主のAさんは、保護主さんから週末だけ預かってほしいと頼まれただけでした。猫は好きなものの、次男が猫アレルギーのため猫と暮らすことをあきらめていたのです。でも、「預かるだけなら」と引き受けました。
しかし、生後2カ月で可愛いさかりのミカちゃんです。A家に届けられた時には、家族全員が「うちの子にする」といった雰囲気に。特に、小学5年生だった次男が乗り気だったのだそう。一緒に過ごして重篤なアレルギー症状が出なかったので、そのままミカちゃんはA家の猫に。
ミカちゃんはそれを知ってか知らずか、次男のことが大好き。まるで自分の弟かのようにせっせとお世話を焼きます。ミカちゃんの方が年下なのにね。
次男がお母さんに叱られている時は飛んできて、前足をお母さんにかけ「にゃー!にゃー!」と激しく鳴いたのだそう。それはあたかも、「もう止めてあげて!」と言っているかのよう。あまりに必死にお願いをするので、お母さんは次男を叱ることができません。次男は何度もミカちゃんに助けられたのだとか。
お母さんもミカちゃんに助けられます。思春期の次男は、両親と口を利かず毎日ツンケンした態度だったよう。一方、ミカちゃんとは相変わらず仲良しの様子を見て、お母さんは次男の成長を静かに見守ることにしたそうです。
こうやって家族を助けることが多いミカちゃん、普段は自分の時間を大切にする猫です。いわゆる「ツンデレ」。それでも、神の意志を伝える大天使ミカエルの名前をもらっただけあり、家族が迷った時には背中を押してくれるのだそう。
例えば、昨年お母さんが転職をすることになった時のこと。新しい職場に通うと、今までより通勤時間が増えます。こうなると、ミカちゃんが一人で過ごす時間も増えてしまいます。しかし、50代後半でやっと叶った転職…。
迷ったお母さんは、ミカちゃんに相談しました。「ミカが寂しくなるけど、お母さんは働いてもいい?」と。
それを聞いたミカちゃん、お母さんに「いいよ」と答えたのです。言葉に出したわけではありません。お母さんを見つめ、全身で「いいよ」と。
今まで何度もあった、この「いいよ」。お母さんはその度にミカちゃんに救われます。救われる度に、ミカちゃんへの愛情は深まっていきました。毎日のお散歩と寝る前の撫で撫でタイムが、お母さんの感謝を伝える時間です。
「うちにいてくれてありがとう」
お母さんはミカちゃんにもっと「ありがとう」を伝えたいので、もっとベタベタしたいんですって。でも、ミカちゃんは高貴な猫。「困った時だけ助けてやるにゃ」と普段は見守りだけ。
あ、そうそう。お母さんはこうもミカちゃんに伝えたいのだそう。
「化け猫になっても構わないから、ずっと一緒にいてほしい」
いやいや、そこは天使でしょ!
現在、長男も次男も実家を出て、それぞれの生活を送っています。家族のあり方がどう変わっても、きっとミカちゃんは家族を見守り続け、時に助けてくれるでしょう。だって、大天使の名前をもらい名前負けしないほど賢い猫なのですから。
(まいどなニュース特約・ふじかわ 陽子)