三浦貴大、偉大な親持つ“二世”“七光り”揶揄の宿命に「光っていないよりはマシ!」
俳優の三浦貴大(35)は、俳優の三浦友和と伝説的歌手・山口百恵を両親に持つサラブレッドだ。ゆえにデビュー当初は“二世”“七光り”という肩書きが否応なく与えられる宿命を背負っていた。
それから10年が過ぎた。テレビドラマと映画を合わせると、これまでの総出演数は100本超という売れっ子ぶり。5月7日に主演映画『大綱引の恋』が公開されるなど、安定した活躍を見せている。その乱れぬペースを支えたのは、宿命を受け入れた「光っていないよりはマシ!」という前向きな姿勢だ。
俳優業に飛び込んだのは大学卒業後というスロースターター。中井貴一主演の映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』(2010年)でデビューし、第34回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞した。その後ファイト一発!「リポビタンD」16代目CMキャラクターに抜擢されたり、遅まきながらの登場とは思えぬ華々しい駆け出しだった。ただでさえ偉大な両親。わかりやすい揶揄を浴びせられるのは想像に難くない。
そんな宿命に対して三浦は「もちろんこの仕事を始めたての頃は色々と言われました。でもこの仕事は知ってもらい、見てもらってこその世界です。悪い事ではない限り、注目されることはプラスでしかない。自分が役者を目指す上で、両親の名前や存在は最初のいいステップというか、きっかけを掴むわかりやすいチャンスだったと思っています」と感謝しきり。
■父は来年70歳!親子初共演の可能性は!?
レッテルに対しては独自の解釈で受け入れた。「かつて“七光り”だと言われたこともありましたが、僕としてはむしろ“光っていないよりはマシ!”と思っていました」と意固地にはならず「両親のことがメチャクチャ嫌いだったら嫌な言葉だったのかもしれませんが、僕は両親のことは普通に好きだし、両親のことを貶されているわけでもないですから。ただただ“ありがたい!”と受け止めていました」と自身の置かれた環境に謙虚な姿勢だった。
デビュー作『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』で共演した中井貴一からの影響も大きい。中井も人気俳優・佐田啓二を父に持つ二世俳優だ。「中井さんがデビューした頃も、きっと僕と同じような感覚だったのではないかと思うんです。中井さんと直接そのような話をしたことはありませんが、撮影でご一緒した際の振る舞いを見る中で、様々なものを超えてきたであろうことは想像がつきました。中井さんのように一人の役者としてきちんと認められれば“七光り”“二世”なんて言葉はなくなる。自分もいずれそうなりたいと思いました」とベテランの背中に自分を重ねる。
昨年で俳優生活は10年に。主演も張れるし、脇も固められる。悪党もできれば、小市民に扮することもできる。三浦家の次男ではなく、今では一人の俳優・三浦貴大としてキラッと光る逸材になった。父・三浦友和も現役。親子初共演を期待せずにはいられない。
実父との初共演の可能性に三浦は「父は来年で70歳になりますから、僕としては早めに一度くらいは共演したいと思います。しかしながらただ共演するのではなく、僕と父が共演することに意味があるもの、その作品にとって僕ら親子の共演がプラスになるものであってほしいという思いがあります」と思い描くが、正直なところ怖さもある。
「ちょっとまだキツイかもしれませんね。というのも最近の父親が出た作品を見ると驚いてしまうんです。どんな風に計算してその芝居になったのか想像がつかないから。…父はやはり凄い人です」。浮ついた気持ちなく、地道に俳優を続けてきたからこそ湧き上がる畏敬の念。なおのこと親子初共演のときが楽しみだ。
(まいどなニュース特約・石井 隼人)