南国生まれの子猫はストレスでご飯が食べられない…家族の愛情で回復し、今はみんなの太陽のような存在に!
大阪府に住む三毛猫の和海(なごみ)ちゃんは、お返事が上手。自分の名前だけでなく、「和海ちゃんは猫ですか?」という質問にもお返事です。もっとも、お返事は全部「にゃー」ですが。
天真爛漫という言葉がピッタリの和海ちゃん。先住猫の福助くんと幸愛(こうめ)ちゃんとも仲良く、3匹固まって猫団子になることも。そんな3匹の姿を微笑ましく眺めるのは、アラフォーのOさんと同棲中の彼氏の2人です。
今でこそ和海ちゃんは元気いっぱいに過ごしていますが、Oさんに引き取られた当初はストレスで体調を崩していました。
まずご飯が食べられません。食べても吐いてしまい、最終的には動物病院で出された流動食をシリンジで流し込んで栄養補給をしていました。
なぜここまでストレスをためてしまったのでしょうか?実は和海ちゃん、宮古島出身の猫なのです。南国の暖かい島から、日本有数の大都会・大阪に空輸されてきたとのこと。宮古島のような離島では保護猫の引き取り手が少ないため、譲渡の機会を増やすために大阪で譲渡会を開催しています。
譲渡会で出会ったのがOさん。生後約3カ月のころでした。初対面でOさんとなんとなく気が合い、迎えられることになります。沖縄・宮古島の美しい海と和やかに過ごしてほしいという願いが込められ、子猫は「和海」と名づけられました。
ところが、全然家で和んでくれません。譲渡会では元気だったのに、先述した通りご飯が食べられなくなったのです。Oさんと彼氏は、毎日動物病院へ和海ちゃんを連れていきます。
体調を崩していたのは、トライアル期間。Oさんはこの先が不安になっていました。これがずっと続くのだろうか。なにより、自分が迎えたいといった和海ちゃんのために、彼氏まで巻き込むことがつらい。トライアル期間なんだから、正式に迎えるのは中止した方が良いかも…。
でも、そんな時彼氏が言ってくれた言葉に救われたそうです。
「家族なんだから、病院に連れて行くのは当たり前。できることを頑張ろう」
彼氏はOさんが迎えた子は、どんな状態であっても自分の家族。正式に迎えるために必要なことをしてあげたい。そう言ってもらえたおかげで、Oさんも安心して和海ちゃんの看病をすることができたのだそう。
今思えば、環境の変化が他の保護猫以上だった和海ちゃん。宮古島からの移動も負担だったでしょうし、お世話になっていた保護主さんや一緒に大阪に来た仲間と離れたのも寂しかったでしょう。ようやく安心できる家が出来たからこそ気が抜けたのかもしれません。人間でもよくあることです。
1週間ほど動物病院に通い続け、ようやくご飯が食べられるようになった和海ちゃん。すると譲渡会で見せた元気を、Oさんの家でも見せるように。お膝に乗ってなでなでをおねだりしたり、色んなところに登ったり。元気いっぱい走り回り、疲れたら電池が切れたように眠る。
もう大丈夫だろうと、正式に譲渡してもらうことになりました。
先住猫の福助くんと幸愛ちゃんも、甲斐甲斐しく和海ちゃんのお世話を焼きます。特に福助くんは妹のように可愛がるんですって。それを和海ちゃんも嬉しいみたい。3匹で一緒に過ごすことが多くなります。
和海ちゃんは、Oさんも彼氏も大好き。たくさんお喋りです。他の人には「にゃー」としか聞こえなくても、和海ちゃんは色んなことをお話しています。それをOさんと彼氏がふんふんと耳を傾ける。それが日常です。
今では和海ちゃんが、家の中の太陽に。
そういえば、太陽の女神・天照大神も天岩戸に隠れたことがあります。その時、他の神々が外で楽しい雰囲気を作りました。その楽しい雰囲気で天岩戸から天照大神は出てきたのは、ご存知かと思います。
和海ちゃんもOさんたちの愛情で、天岩戸から出てきたのかもしれません。
(まいどなニュース特約・ふじかわ 陽子)