ゴミ箱の中で溺れかけていた子猫 個人で猫の保護をしている人に叫び声が届く

もなかちゃん(1歳・メス)は、深夜、汚い水が溜まっているゴミ箱の中で溺れかけていた。ある人が飼い猫たちに夜食を与えていたところ、もなかちゃんの悲痛な叫び声を聞いた。早く助けなければ!と思って探したが、声はだんだん小さく、弱々しくなっていった。

■ゴミ箱の中で溺れかけていた子猫

2020年4月27日の深夜、午前3時過ぎ。大阪府に住む古川さんは飼い猫たちに夜食を与えていた。マンションの5階に住んでいるが、猫の声がうっすら聞こえるのに気がついた。

最初は喧嘩かなと思ったが、ベランダに出てみると猫が鳴き叫ぶ声が聞こえた。尋常な鳴き声ではない、どこかに挟まったのかと思い、古川さんは、急いで猫缶と懐中電灯を手にして外に飛び出した。階下に着く頃には猫の声は弱々しくなっていた。早く探さなければ!と焦りながらも、ふと見ると、路地に置いてあるゴミ箱から水があふれだしていたので、「この中にいるのでは?」と思ってふたを開けてみると、1匹の子猫がおぼれかけてアップアップしていた。

「いつから鳴いていたのか分からないのですが、ゴミ箱の中には冷たい汚い水がたまっいて、子猫はびしゃびしゃに濡れていました。素手で引き上げましたが、もはや抵抗する気力も体力もないという感じでした」

水に濡れて冷えきっている子猫、放っておけば死んでしまうかもしれないと思い、古川さんは自宅で保護した。

■先住猫たちは歓迎

家に連れて帰って冷え切った温めている最中も、たくさん水を飲んだためか、子猫は何度も吐き戻した。

「十数回吐いたので、正直もうだめかと思いましたが、なんとか回復しました」

タオルでくるんで温めたが、なかなか温まらず、お湯で温めてからドライヤーを当て、再度タオルでくるんで必死に看病した。

保護してから1週間後、子猫は高熱を出して、1週間毎日動物病院に通ったが、注射も嫌がらずに頑張った。

先住猫たちは、どの子も新しい猫が来ることに慣れているので、いつものことだが子猫が見たくて、構いたくて仕方がない様子だった。

ひらがなで書くと可愛い名前で、短く呼んでも可愛い名前がよかったので、名前は「もなか」ちゃんにしたという。

もなかちゃんはやんちゃで、おてんば娘。コップに入れた古川さんのお茶は手洗い用の水にしたり、自分で飲んだりする。

■保護しなければ死んでしまう

古川さんはもなかちゃん以外にもたくさんの猫を保護した経験を持ち、現在は17匹と一緒に暮らしている。

「私はボランティアではなく、ただ猫が好きなだけなんです。TNRのR(Return)ができなくて、猫に関わるのなら我が子にするというスタンスでやっています。Rをするには地域の協力が必要ですし、私は餌やりボランティアさんのネットワークを知りません。それにRをすると、雨の日や寒い日に猫のことが心配になりますし、毎日やって来なければ、それもまた心配。それで胸を痛めるくらいなら、私が面倒を見たいんです。ただ、全頭保護することはできないので、『いま保護しなければ死んでしまうだろう』というのを保護のボーダーラインにしています」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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