コロナ対策に期待大!? プラズマテレビの技術を転用して作られた、手のひらサイズのオゾン発生器

除菌・消臭効果があるとされるオゾン。新型コロナウィルスを不活化させる効果もあるという。一般家庭でも手軽に使えるオゾン発生器を開発したのは、かつてプラズマテレビを世に送り出した技術者だった。

■水銀を使わない新技術で空気中の酸素をオゾンに変換

オゾンは酸素原子3つからなる酸素の同素体で、除菌・消臭効果があることが知られている。

兵庫県淡路市にある「株式会社紫光技研(しこうぎけん)」では、小型(高さ15cm×径8cmの円筒形)・軽量(335g)、そして一般家庭で安全に使用できるオゾン発生器「ViiV.03(ビーブ・ゼロサン)」の開発に成功し、商品化した。

家庭用のオゾン発生器は従来からさまざまな家電メーカーがしのぎを削っている分野だが、小型であるがゆえにカバーできる範囲が狭いのが悩みだった。「ViiV.03」はタンブラー大のサイズながら、除菌なら15畳、消臭なら20畳に相当する空間をカバーできるという。

なぜ、そのような技術が可能になったのか。販売を一手に引き受ける「合同会社ViiV (ビーブ)」の代表社員・北條聖一郎氏に聞いた。

「ViiV.03を開発したのは、かつて富士通で世界初のフルカラープラズマテレビを開発した、工学博士の篠田傳(つたえ)氏です。富士通から独立した後、プラズマテレビの技術を転用したフィルム型発光デバイスを発明して、その技術が小型・軽量・高機能を実現させました」

プラズマテレビが衰退し、富士通が撤退した後も、篠田博士はプラズマ技術を諦めることなく独自に研究を続け、2015年にフィルム型発光デバイス「UV-SHiPLA(シプラ)」の開発に成功した。キセノンガスを使ったプラズマ発光が178nm(ナノメートル)の真空紫外線を発生し、空気中の酸素をオゾンに変換する。

従来の方式と大きく異なる点は、主として水銀が使われていないこと。これまでオゾンを発生させる技術には、水銀ランプが使われていた。だが2013年に日本政府が主導して採択した「水銀に関する水俣条約」によって、水銀の一次採掘はもちろん水銀の使用が規制されたため、代替技術の登場が待たれていた。篠田博士の「UV-SHiPLA」は水銀を一切使わないオゾン発生技術、2015年から事業所向けとして、医療、行政、研究の各機関や企業などに多く採用された。

ところで「SHiPLA」とは、聞きなれない単語だが?

「開発者である篠田博士の『シ』、プラズマの『プラ』をくっつけた造語です」

「UV-SHiPLA」を搭載した「ViiV.03」は、一般家庭向けに開発されたオゾン発生器で、連続使用寿命は1万時間とされる。また「UV-SHiPLA」は、日本のほか米国、EU、中国、韓国などで11件の特許を取得済みだ。

■窓を閉めておならをしても平気!?

「合同会社ViiV」では「ViiV.03」を正式に発売する数か月前から、効果についてモニタリングを行ってきた。あるモニターは「窓を閉めてスカしても、秒で消臭してくれます」と、自身のSNSに投稿している。

では具体的に、どのような効果が期待できるのだろうか。「合同会社ViiV」が公表しているのは、除菌と生活臭の除去だ。たとえばペット、小さなお子さん、トイレ、浴室、冷蔵庫、クローゼット、下駄箱、マスク、車の中、飲食店、汗のにおいなど。オゾンは気体なので、隙間があればどこへでも浸透する。だから「ぬいぐるみ」の内部まで浸透していって、除菌と消臭ができるという。

もっとも、オゾン自体は人体に有害だ。人体に影響しない濃度で使ってもらうためには、閉め切った車内や密室状態で濃いオゾンを吸わないよう、注意が促されている。

そうはいっても、オゾンは目に見えない。注意するポイントを聞くと、

「オゾンには匂いがあります。ふだん使っているときは気になりませんが、匂いを感じたら『濃いな』と思ってください」

昨年、注目すべき発表があった。オゾンには新型コロナウィルスを不活化させる効果があるという。奈良医科大学と藤田医科大学が昨年(2020年)行った実験で確認され、プレス発表されている。

一般家庭で行えるコロナ対策といえば、こまめな手洗いと換気ぐらいしかなかったが、「ViiV.03」でさらに進んだ対策ができるのではないだろうか。

(まいどなニュース特約・平藤 清刀)

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