庭のウッドデッキに突然現れた猫、翌朝も用意した毛布の上でぐっすり寝ていたので迷わず家族に

こはくちゃん(11カ月・オス)は、前さん宅に突然現れた。どこから来たのか分からないが、とても人懐っこくて可愛らしく、子供たちは「飼いたい」と前さんにせがんだ。しかし、ひとつの命を「可愛い」と思うだけでは飼えない。前さんは答えを一晩保留することにした。

■突然現れた猫

2020年5月半ば、福井県に住む前さん宅の庭に設置してあるウッドデッキに1匹の猫が現れた。

「夜、娘が『猫の鳴き声がしない?』と言うので、カーテンを開けてみたら1匹の猫がちょこんと座っていたんです。『ニャー』とご挨拶してくれたので、家族みんな可愛い~と言って、ちょっとした騒ぎに。ウッドデッキに出てお水をあげました」

猫はとても人懐っこく、家族みんなの膝の上に乗り、撫でたり触ったりしても嫌がらなかった。毛並みもきれいだったので、前さんは「このあたりで野良猫は見かけないけど、本当に野良猫?」と思った。捨て猫か迷い猫かもしれないが、どこから来たのかさっぱり分からなかった。

「子供たちは飼いたい、飼いたいと言いましたが、命を預かるわけなので迷いました。とりあえず、次の日もここで寝ていたら考えようということにしたんです」

まだ少し寒かったので、前さんは毛布を準備し、その日の夜は気になりつつも就寝した。

■みんな、よろしくね!

翌朝、半分期待しながらそっとカーテンを開けてみると、猫はちゃんと毛布の上で寝ていた。

「その姿を見た瞬間、もう家族みんな心奪われてしまって、すぐに動物病院に連れて行きました」

ノミもダニもついておらず、生後1年ほどということだった。獣医師は「穏やかな性格の可愛いキレイな猫ちゃんだから、よろしくね!」と前さんに言った。

白い被毛がきれいだったので「ハクちゃん」という名前にしようと思ったが、まだ小さかったので「コ」を付けて「こはくちゃん」と名付けた。

「初めはみんなの膝の上に座っていましたが、今では長男の膝の上にしか座らないんです。あの時は『みんな、よろしくねー』と挨拶していたのかもしれません」

■すっかり一家の一員に

こはくちゃんは紐で遊ぶのが大好き。遊んでもらいたい時は紐の前にちょこんと座る。誰かが作業や宿題をしようとテーブルの上にノートなどを広げると、その上に座ってかまって攻撃をする甘えん坊でもある。尾てい骨を叩かれるのが大好きで、納得するまでやらないと、前さんの顔にすりすりして、何度も繰り返し要求する。

「新型コロナウイルスの影響で暗い話題が多く、気持ちも沈みがちでしたが、こはくのおかげで優しい気持ちになれました。こはくは人の気持ちが分かるのか、お兄ちゃんが受験の時期はお兄ちゃんの部屋に行かなかったのに、終わった途端お兄ちゃんの部屋でくつろぐようになりました。私が仕事で疲れている時は、夜一緒に寝てくれることもあります」

こはくちゃんは、家族にとってかけがえのない存在。みんなを幸せにしてくれるという。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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