自粛警察の嫌がらせは悪役レスラーよりひどい!大阪のプロレス団体に見えない敵、所有マンションに「アホ」貼り紙100枚

大阪市を拠点に1月旗揚げしたプロレス団体・コレガプロレスリングが、見えない敵と戦っている。同市福島区に、最大600人が収容できる日本唯一のプロレス常設会場「コレガスタジオ」を開設。日曜日をのぞく毎日、興行を開催しているが、旗揚げ直後から「こんな時期にプロレスをやるのか」などと主張する自粛警察からのしつこい嫌がらせを受けている。

コレガプロレスを運営するランズエンドプロレスリング代表のプロレスラー・崔領二さん(40)によると、所有するマンションにゴミや汚物、動物の死がいなどが置かれたほか、崔さんや関係者のメールなどに「死ね」などの誹謗(ひぼう)中傷が届くようになったという。

4月20日には、マンション入口などに赤字で「アホ」と書かれた貼り紙が100枚ほど貼られた。崔さんはこれまで事実を隠してきたが、徐々にエスカレートする嫌がらせに公表を決意した。コロナ禍で動きを強める自粛警察。「こういう人間を、社会は肯定していはいけない。こんなことをするのはスマートな生き方じゃないということをわからせる世の中にしないといけない」とけん制した。

崔さんは2001年にプロレスデビュー。フジテレビで放送された恋愛リアリティー番組「あいのり」にレギュラー出演した。「売名」「やらせ」との中傷を数多く浴びたという。同局の「テラスハウス」に出演後に死去した女子プロレスラー・木村花さんと重なる。

過去の体験を振り返り、崔さんは「きちんと教育を受けてきた人たちが、生きていく上で大事なことに気づいていない。自分が不安な状況になると、他人を攻撃する。自分の意見にそぐわない人を、みんなで攻撃してもいいということになる。誹謗中傷するヤツも一定数いる」と指摘する。

嫌がらせをする人物の目星はついているというが、中傷がまた新たな自粛警察からの中傷を呼ぶ。「刑事罰どうこうじゃない。相手にしちゃいけない。犯人に言いたいこと…ゆっくり山でも海でも行って、自分を見つめ直したらどうですか」と諭した。

3度目の緊急事態宣言発出中の大阪府では、イベントの開催規模や場所にかかわらず観客を「無観客」にするよう要請。国からの補償は、明確になっていない。コレガプロレスは、コロナ感染防止対策を十分に施しながら興行を継続。会場や試合ごとのリング消毒などで、1日10リットルの消毒液を使用するという。

旗揚げから3カ月。まだまだ観客動員も少なく、コレガプロレスは「必要以上にソーシャルディスタンスになっております」と自虐コメントも出した。崔さんは「コロナ禍でエンタメを届けることが一番だと思った。休んだら得しない。自粛警察に流されていいのか」とギブアップはしない。

取材した日、崔さんはメインのタッグマッチに出場。対戦相手に「ひとりの人間として聞く。マンションにアホって貼り紙を貼ったのはオマエらか?」と、騒動を逆手にとったマイクアピールで会場を盛り上げた。

会場の家賃は月300万円だという。興行をYouTubeで毎日無料生配信するなど、コレガプロレスは観客動員アップに必死だ。崔さんは「いいプロレス、いい流れを伝えていきたい。人に夢を与えるためにやっていけたら」と闘志を燃やした。

(まいどなニュース/デイリースポーツ・杉田 康人)

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