小泉進次郎「おぼろげ」発言にすばやく反応! 「46」のシルエットを投影できるアクリル板を作った新進クリエーターが話題に

「46という数字のシルエットをおぼろげながら浮かび上がらせるキャンペーンをしています」

お好みの場所に「46」という数字のシルエットを投影できるアクリル板がSNS上で大きな注目を集めている。このアクリル板を制作したのは近年『エビデンサック』や『4℃ネックレス』『くそリプTシャツ』などのメッセージ性あふれるアート作品を発表して話題を振りまくクリエイターの南村杞憂さん(@jocojocochijoco)。

今「46」と言えば小泉進次郎環境相。4月23日に『NEWS23』(TBS)に出演し「日本が2030年度において温室効果ガス削減量の目標値を2013年に比べて46%削減と設定した理由」というアナウンサーの質問に対し小泉環境相が答えた「おぼろげながら浮かんできたんです。46という数字が」というセリフは国民を爆笑と不安の渦に陥れた。

この問題に対しタイムリーに反応した南村さんの作品に対し、SNSユーザー達からは

「相変わらず仕事が早いなぁw」

「ここ最近で一番わらいました。ありがとうございました」

「いいかげんに46」

など数々の絶賛のコメントが寄せられている。

南村さんにお話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):このアクリル板の作品名は決まっているのでしょうか?

南村:シルエットが作品の主体だったりするので、この46が彫刻されたアクリル板は装置みたいなものに過ぎず光源も問わないんですが『簡易詩情発生装置』(2021)としましょう。

中将:簡易詩情…(笑)。これを作ろうと思った着想はやっぱり小泉進次郎の「おぼろげ」発言ですよね?

南村:はい。あの発言を初めて見知った時は「勝てねえ~」と思いましたね。「"本物"じゃん」みたいな。占いで政(まつりごと)を決めていた卑弥呼の時代の手法かよと。もはや「おもしろさでいうと負けてて悔しい」まであるんですが、正直、暗澹たる気持ちになりました。

ただやはり私の癖なんでしょう、横目で話題を見ているうちに自ずとアイデアは湧き出てくるもので、最初は「おぼろげに46というシルエットが浮かび上がる手持ちのライト」を作ろうと着想していました。すぐにそのための材料も買ったのですが、光源との焦点を合わせるなど制作するのが若干手間なのと写真で撮ったときにどうしても変化に乏しいのとで、結果的に作業が手っ取り早く、より自由度が高く、シンプルな今回の形になりました。

中将:小泉進次郎のキャラクターについてどう感じておられますか?

南村:端的に言うと、少なくとも今の彼が環境相ないし政治の重役のポストに適任とは思えないなというのが私の感想です。もちろん父親の小泉純一郎元首相的な「小泉劇場」と呼ばれる政治手法を意識しているんだろうなというのは見ていて感じ取れます。しかしお父さんほど上手くできていないというか…かつては「若くてイケメンな次期首相候補」と持て囃されましたが、今となっては「何を言っているのか分からない政治家」のキャラクターを確立してしまったように見受けられます。小泉純一郎元首相といえば「小泉劇場」ですが小泉進次郎氏は同じ意味の言葉を反復する構文を指す「進次郎構文」というミームの方が有名になってしまった印象です。

要領を得ないのらりくらりとした発言自体も当然問題ですが、それ以上に、自身で書いた著書もないことからもうかがえるように、政治家としては他の方に比べ圧倒的に思想が見えてこないという特徴があるように感じます。ただ「自助」を重んじる傾向はあるようなので、現在の自民党政権のスタンスにはある程度合致していると言えるのでしょう。私の感想としてはこれも正直あまり好ましいことだとは思っていません。

中将:彼自身の思想が「おぼろげ」なのかもしれませんね…。今回の作品を制作する上でこだわったポイント、苦労したポイントをお聞かせください。

南村:アクリル板自体の制作はデータ作成から切り出しまでかけても本当に2分くらいだったんですが、写真撮影についてはやや頑張りました。最低でもアクリルを持つ手、光源を持つ手、カメラで撮る手の3つの手が必要なので、わざわざ彼氏に手伝ってもらったりしたのが一番大変だったかなと。

工夫すると結構遊べるので、外でロケ撮影みたいなこともしました。制限速度表示みたいに道路で撮影したり、削減目標という本筋の話題にちなんでそのへんのゴミに映してみたり。

部屋の中で撮影した画像に至っては被写体が彼氏なんですが、そうなるとまた人手が足りないので、ラックにかかったハンガーにガムテープで撮影用スマホを固定して動画で撮ったものをスクショで切り出したり……こう見えて地味に手が込んでいます。

中将:今回の反響についてご感想をお聞かせください。

南村:やはり時事ネタの反響って何よりも一番大きいなあと改めて感じました。「仕事が早いね!」という反応も多くいただきました。思いついたらすぐ手を動かして作ることにしているので大変ありがたい評価です。

直感的に風刺を面白がれる余地のある社会は健全な社会だと私は思っていて、これは権威(ヘゲモニー)というものに対するヘルシーなスタンスだと考えています。かつてイギリスにあらゆる権威も女王陛下もなにもかもを辛辣に茶化しまくる『空飛ぶモンティ・パイソン』というコント番組がありましたが、制作はなんとBBCなんですよね。BBCは日本でいうところのNHKみたいな立場のテレビ局です。権威というものが一強になり過ぎず、きちんと批判され得る存在としてある。そういうビジョンはすごく健全で理想的な社会像だと私は考えています。

風刺というには私の今回の投稿はむしろ全然甘かったかなって反省するくらいではあるんですが、面白がってくれる人が一定数いたのはありがたいことです。ただこれを一過性の娯楽的消費としてしまうのではなく、今回の件について何が問題だったのか批判精神を保ち続けることが本当に重要だと思います。そうでなければ「46」という数字がプロパガンダされてしまったに過ぎなくなってしまうので、それは私の本意ではありません。

きっと私はこれからも必要に応じて社会にある問題を切り取り、加工し、作品に還元していくだろうと思っています。だからこれからも最低限、皆さんがそれらを面白がってくれるような社会が続けばいいなと願っています。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。

■南村杞憂(なむら きゆう)プロフィール

1995年生まれ、徳島県出身。

関西学院大学文学部卒、神戸大学大学院在学。

マルチクリエイターとしてデジタルファブリケーションを駆使し、関西を拠点に広く活動中。現在はインターネット、性、vaporwave等をメインのモチーフに用いながら、真面目にやる時は大抵「身体性の喪失と回復」を主なテーマに透明素材で作品を制作しているが最近は手グセで作った変なものの方がバズる。

制作以外にもラジオMCなども務め、現在は神戸のコミュニティFM「FM MOOV」にて毎週水曜18:35~18:45放送中のラジオ番組「世界の音楽」でレギュラーパーソナリティーとして出演中。

大阪のギャラリー「アトリエ三月」のバー担当。

講談社主催オーディション ミスiD2021にて「Edge!賞」受賞。

好きなものはモンティ・パイソンと小林賢太郎と水曜どうでしょう。

◇ ◇

『南村杞憂 個展(タイトル未定)』

期間:6月17日~28日

時間:12:00~18:00(L.O 17:30)

※最終日は17:00まで開催

会場:cafeAnamune(アナムネ)

〒542-0086

大阪市中央区西心斎橋1-8-16 501号室

定休日:火曜、水曜

コラボカフェメニュー有り

※展示のご観覧のみの方は入場料500円頂きます

◇ ◇

その後、小泉環境相は自身の「おぼろげ」発言について番組に「切り取られている部分がある」と釈明しているがなんとも苦しい。南村さんの投稿に対するコメントにもあったが本当に「いいかげんに46」と言いたくなる。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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