寂しそうな表情を見せる「メロンソーダ色」の瞳の猫 生粋の野良猫だったが、時を重ねて甘えん坊に
メロンちゃん(推定2、3歳・オス)は、埼玉県に住む宮腰さんの家の庭に現れた。他の野良猫もやってくることがあるが、宮腰さんはなんとなくメロンちゃんに惹かれるものを感じた。しかし、メロンちゃんは生粋の野良猫。そう簡単には懐いてくれなかった。
■不思議なオーラを放つ猫
--メロンちゃんとの出会いについて教えていただけますか。
宮腰 「2020年10月下旬、うちの庭にメロンがやってきたんです。いろんな野良猫が庭を通ることがあるのですが、初めて見る猫でした。何か引き寄せられるような、不思議なオーラを感じました。その後、メロンを保護するまで、半年近く家の外でやりとりしました」
--メロンちゃんはすぐに懐きましたか?
宮腰 「毎日欠かさずにうちの玄関にやってきたのですが、最初の3カ月くらいはなかなか心を開いてくれず、シャーシャー威嚇したり、猫パンチしたりしようとしました。威嚇しているのですが、仲良くなりたいのかな?本当は信じたいのかな?と思わせるような、寂しそうな表情を時折見せました」
--飼おうとは思わなかったのですか。
宮腰 「当時、我が家にはすでに3匹も先住猫がいたのです。夫は猫があまり好きではないので、さすがに4匹も飼うのははばかられました。何度も里親を探そうと思ったのですが、メロンは人に心を開かず、非常に攻撃的なところがあり、捕まえるのも困難でした。里親さんが見つかっても可愛がってもらえるだろうかという不安もありました」
■里親を探そう
--少しずつ懐いてきたのでしょうか。
宮腰 「寒い冬も過ぎ3月になった頃、毎日欠かさず挨拶をしてごはんをあげていたら、抱っこや膝乗りが大好きになり、完全に私を信頼してくれるようになったんです。私の膝に乗ってふみふみし始めた時は。胸が締め付けられるようでした。この頃、初めて『メロン』という名前をつけることにしたんです」
--なぜメロンちゃんという名前にしたのですか。
宮腰 「甥に絵本を買おうと本屋に行った時、『なまえのないねこ』という絵本に出会ったのですが、その絵本に出てくる猫とメロンの瞳の色がメロンソーダみたいな美しいグリーンだったのでメロンという名前に決めました」
--名前まで付けたら手放せないのでは。
宮腰 「日に日にメロンへの愛情が深まっていきました。風の強い日とか雨の日とか寒い日に、私が家に入ろうとすると寂しそうにするので心を揺さぶられました。この子はお外も自由も好きだろうけど、毎日誰かにたくさん甘えて愛情をもらうべきなのかなと思うようになったのです。メロンの里親さんを探すことにして、日ごろから交流のある保護猫活動をしているペットシッターさんに相談をしました」
■里親が決まれば二度と会えない
--相談してみて、いかがでしたか。
宮腰 「ペットシッターさんは、捕獲後、病院で検査をして、感染症がなければ里親さんを探してくれると言いました。でも、『里親さんにもらわれていったらもう二度と会えなくなりますか?』と尋ねると、『はい、二度と会えません』と言われたのです。里親さんのところへ行けばもう二度と会えなくなる、そう思ったら涙が止まらなくなりました」
--可愛がっていたのに二度と会えないのはつらいでしょうね。
宮腰 「もうどうしていいか分からなくなって、ひたすら泣いていました。決断力がない自分が情けなかったです。結局、夫が泣いてばかりいる私をかわいそうに思ったのか、メロンを迎え入れていいと言ってくれたのです」
--捕獲は簡単にできましたか。
宮腰 「3月、知り合いのボランティアさんに捕獲機を借り、抱っこして捕獲機に入れ、夜間だけ保護猫限定で診察している獣医師のところに連れていきました。メロンは怖かったみたいで、今までの威嚇とは比べ物にならないほど激しく威嚇して必死で抵抗しました。とてもかわいそうで、鎮静剤を2本打ち眠っている間に、猫エイズ、白血病の検査をしたのですが、どちらも陰性でした」
■一番の甘えん坊に
--陰性でよかったですね。
宮腰 「陰性と知り、またしても涙が出ました。もし陽性だった場合は、先住猫にうつしてしまうので保護してあげられなかったからです。2カ月の潜伏期間があるため、5月にもう一度検査をして、陰性だったら先住猫と接触させようと思っています。今は、4畳半ほどの屋根のあるバルコニーで暮らしています」
--先住猫とはまだ会っていないのですか。
宮腰 「ガラス越しに顔合わせしました。3匹目に我が家にやってきた子が激しく威嚇しましたが、他の2匹はそこまで威嚇せずに様子を伺ったり、素知らぬ顔をしたりしています。メロンは1週間ほどニャーニャーと鳴いたり、出口を探したりソワソワ落ち着かない様子でした。ごはんも2日食べたり食べなかったりとムラがありましたが、2週間過ぎたあたりからはくつろぐ姿も見られ、ごはんも完食し、おかわりを欲しがるようになりました」
--メロンちゃんはどんな子ですか。
宮腰 「我が家の4匹の猫の中で一番の甘えん坊になりました。メロンは夫によく懐いていて、膝に乗って離れません。そんなところが夫も可愛いと感じているようです」
--シャンプーもできたんですね。
宮腰 「うちに来て3週間ほどが経った頃、シャンプーもしました。いつもキャットグルーマー協会の動画を見て勉強していたのですが、とても大人しくしてくれて驚きました。砂や埃まみれだった毛並みは、ふわふわサラサラになり、イケニャン度がアップしました」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)