川に捨てられそうになった子猫 ひどい目に遭い骨折もしたが、里親に寄り添いなくてはならない存在に

ごまちゃん(8歳・メス)は、ある家の納屋に紛れ込み、たまたまそこで出産したばかりの母猫の母乳を吸って生きていた。ただ、その納屋の持ち主は、ごまちゃんを川に流して捨てると言った。そのことを聞いた窪田さんは、ひとまずごまちゃんに会ってみることにした。

■いらない子猫は川に流す

2013年5月、福島県に住む窪田さんは、友人から「引き取り手のない子猫がいる。袋に入れて川に流す」と言われた。友人宅の納屋で友人の飼い猫が出産したのだが、その中にどこから紛れ込んできたのか、兄弟ではない子猫が1匹交じっていた。いらない子猫を川に流すというのは昔ながらの考え方かもしれないが、窪田さんはショックを受け、何はともあれ子猫を見に行くことにした。

車で2時間かけて友人宅に行くと、子猫は他の子に交じっておっぱいを飲んでいた。

「その子だけ少し大きく、目も開いていました。一目見た瞬間、この子だ!と思い、飼うことにしました」

窪田さんは、当時学生で一人暮らし。動物を育てた経験もなく不安だった。

「正直、寂しさを紛らわせたいという思いもありましたが、ただただ可愛くて、私の顔を見て鳴く姿が愛おしく、こんなに可愛い子の命を絶つことはできないと思ったのです」

■足蹴にされ、トラックで轢かれる

子猫を連れて帰ると、毛布の上が気に入ったようでずっと寝ていた。トイレもすぐに覚えた。お腹に斑点の模様があったので、ゴマフアザラシみたいだと思い、ごまちゃんという名前にした。

ごまちゃんはとても人懐っこく、窪田さんにもすっかり懐いていたが、それが仇になったことがある。

「ごまを探していると、周辺で工事をしていた人に、足にまとわりつくから蹴った。その後トラックで轢いたと、心無いことを言われたんです。ごまは骨折して帰ってきました」

それ以来、窪田さん以外の人には懐かなくなり、抱っこも、触られるのも嫌がるようになってしまった。脱走させてしまったことについては、窪田さんは、申し訳なく思っている。できるだけ窓を開けず、出かける時は後ろ向きに出るなど工夫をしているという。

■飼い主と猫は言葉が通じる?

ごまちゃんは、「ごま」と名前を呼ぶとすぐ来てくれる。「もしかしたら、人間の言葉が分かるんじゃないのかな?」と思うこともある。

ごまちゃんを迎えてから、窪田さんは家族や友達と話すことが増えた。リビングで家族と一緒に過ごす時間が増え、笑顔も増えた。窪田さんは医療従事者だが、コロナ禍で辛い中でも、ごまちゃんが癒してくれるので頑張れるという。

「学生時代も社会人になりたての時も、辛くて泣いていると、ごまが寄り添ってくれました。この子がいたから乗り越えられたことが沢山あって、感謝しています」

いつかごまちゃんが最期を迎える時、「うちに来てよかった」と思ってもらえるよう、窪田さんはこれからもたくさん愛情をかけて、ごまちゃんとのいい思い出を作りたいと思っている。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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