「ビートルズのファンなんです」と言ったら証明のため2曲歌わされた…ロンドン・ヒースロー空港の入国審査が話題に
頻繁に渡英している理由を問われ「ビートルズのファンなんです」と答えたら、それを証明するためビートルズの曲を2曲歌わされた…
ロンドン・ヒースロー空港で日本人女性が体験した衝撃的な入国審査がSNS上で大きな注目を集めている。「飲み会で聞いた話」としてこのエピソードを紹介したのはイギリス在住のアーティスト、Yo Okadaさん(@yoookd)。
エピソードは2000年代のものということで現状は異なるのかもしれないが、イギリスを知る人の間ではヒースロー空港の入国審査の意地悪さは有名らしい。Okadaさんの投稿に対しSNSユーザー達からは
「ヒースロー入国審査は名物というか洗礼なのですね。
子連れで行ったときも長蛇の列、とても時間がかかりました。子どもの学校事情や滞在先、目的など根掘り葉掘り聞かれ、泊まる家の事情まで探られました。前任地で一緒だったことや先方の今のポジションを言うとあっさり解放。diplomatつおい!(笑)」
「ヒースローでイカの塩辛が麻薬犬に引っかかって別室に連れて行かれ、職業は牧師だと言ったのに見た目のゴツさで信じてもらえず、"ホントに牧師なら先週の礼拝説教をやってみろ"と言われて、実演。それでやっと信じてもらえた、という人がいました。」
「私も盆暮れ正月GWにウェストエンドに行っていた時期があり、passport controlで観光だと言ったら何を今さらと言われ、私はtheatregoarだと言ったら、今回どこで何を見るかと聞かれ、延々答えたことがあります。劇場名とか発音を間違って覚えていたのを直されたりして(笑)」
「ヒースローのニコリとも笑わない入国審査官を笑顔にさせたくて、ちょうど誕生日だったから、今日私誕生日なの~
というテンションで告げたら、目を合わせることなく低い声のまま、Happy Birthdayと言われたんです。
えぇ。なんかスベった人みたいな、やり切れない思いだけが残りました。」
など数々の同様の体験談が寄せられている。
Okadaさんにお話をうかがってみた。
中将タカノリ(以下「中将」):ヒースロー空港の入国審査ではこのように意地悪な審査がよくあるのでしょうか?
Okada:正確な時期はわかりませんが2004年前後までは、イギリスでの長期滞在ビザは、最初に到着した空港の入国審査(イミグレ)で無料で発行されていました。特にヒースロー空港は入国審査官によって対応がバラバラで、中には意地悪な方もいたことで有名でした。
現在はイギリスに来る前に、在住国内の英国ビザ申請センターでの有料ビザ取得が必須なので、空港イミグレでいろいろ詰問されることは無くなったようです。
私自身は、イギリスに観光できたのは2000年に1度だけ、2002年にイギリス移住したときも文化庁派遣アーティストとして日本政府からの紹介状があったので、幸いそれぞれの入国審査に問題や嫌な経験はありませんでした。
ヒースロー空港でのビザ発行が無くなってからは、ロンドンのクロイドンにあるホームオフィスでビザ申請しました。
中将:彼氏に会いに来ていることが分かると別室コースになってしまうのはどうしてでしょうか?
Okada:国籍を問わず、単身で何度も繰り返し観光目的でイギリスに来ていた20代~30代の独身女性は、イギリス在住(イギリス人に限らず)の彼氏の家でそのまま不法滞在したり、不正に生活保護を受給するかもしれないと用心されて、ヒースロー空港で厳しいイミグレ審査をされることが多かった時代がありました。往復航空券や、彼氏の自宅ではなく予約したホテルの住所を提示すると、そこまでの追及はなかったようです。
現在は別室に呼ばれて荷物の隅々まで検査されることは減っていると聞いています。コロナ禍以降のイミグレの様子はちょっと分かりません。
中将:ご投稿に対し多くの方から共感のコメントが寄せられました。今回の反響へのご感想をお聞かせください。
Okada:かつてヒースロー空港ではいろいろなイミグレ物語があったことを、リプライや引用リツイートでツイートしてくださる方々がたくさんいて、懐かしかったです。2000年代当時は別室に呼ばれる、観光目的について突っ込んだ質問をされるといった話をあちこちでよく聞きました。
男性の方で「僕はそんな目には合わなかった」とおっしゃる方がいて、男女ではイミグレでも視点が変わるなあ、とも思いました。
◇ ◇
入国審査は外国人にとってその国の玄関口。あまりに常識外れな対応をすると国のイメージを損なう事にもつながりかねない。違法行為を未然に防ごうという係員の情熱はもちろん尊重されるべきだが、最低限、善良な入国者が不愉快な思いをしないバランス良い対応をお願いしたいものだ。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)