山中で鳴いていた子猫、家族や先住猫に守られすくすく成長 妹猫を迎え幸せなシニアライフを満喫
じじちゃん(18歳・オス)は、和歌山県の山中で発見された。中学生だった姉が発見したのだが、神前さんの家族は保護した猫は飼うと当たり前のように思っていたので、じじちゃんは一家の一員になった。シニアになってもたくさんの愛情を注がれて暮らしている。
■山中にぽつんといた子猫
2002年10月、当時中学生だった神前さんのお姉さんは、学校の帰りに裏山で猫の鳴き声を聞いた。山中を探し回ると、ぽつんとたたずむ1匹の小さな黒猫の子猫がいた。
あたりを見回しても親猫も他の猫もおらず、黒猫は自らお姉さんに擦り寄ってきた。急な崖に囲まれた山だったので、「もしかしてカラスに落とされたの?」と思い、放っておけず連れて帰ってきたという。
当時、神前さんは小学生だったが、家で先住猫と遊んでいると、お姉さんが泥だらけの制服で「ねこ!!」と叫んで、黒猫を抱きかかえて帰ってきたことを覚えている。
■先住猫や妹分と仲良く暮らす
和歌山県の神前さん宅には当時2匹の先住猫がいたが、保護したからには自分の家で飼う、と当たり前のように考えていたため、家族みんなで受け入れた。
名前はじじちゃんにした。ニックネームの「じじこ」と呼んいる。初対面で自分から積極的に寄ってきただけあって、人懐っこく人間が大好きな子だった。
ほかの猫にもおびえることもなく、すぐに打ち解けた。家の中にいると安心できるようで、猫なのに外を怖がり、ベランダにすらあまり出たがらなかった。「外で相当怖い思いをして助けを求めてきたのかなと思っています」
当時最古参猫だったもこちゃんは、「なんか増えたな」と、クールに新入りの存在を認め、茶トラのろんちゃんは母性本能を丸出しにして、じじちゃんを我が子のようにかわいがった。
じじちゃんを迎えてから数カ月後、家の前の道路にキジトラ猫が落ちていて、危険なので保護して庭で飼っていた。しばらくしてから「きき」と名づけて家の中で飼ったが、じじちゃんとは、まるで姉妹のように仲良くなった。「妹分ができたことで気が大きくなり、調子に乗って先輩猫に叱られることもあり、家の中がにぎやかになりました」
■長老じじちゃん、若い猫を迎えたら元気に
じじちゃんは、若い頃に尿結石で緊急手術をしたが、慢性鼻炎とつきあいつつ穏やかに過ごしている。
家族相手にシャーッと怒ったり、ひっかいたりしたことが一度も無く、外に脱走したこともない。「猫観を覆すようなインドア穏健派で、投薬やシリンジ給餌もすんなり受け入れてくれます」
若いころにお手を覚えたが、10年以上たった今でも、何か食べたくなると食事スペースで片手を上げて待っていることがある。
長い間、じじちゃんを含めて4匹で暮らしていたが、先輩猫「ろん」「もこ」、妹分の「きき」が他界。特に母親代わりのろんちゃんが亡くなった後はお腹の毛がすべて禿げて、食も細くなったという。
しかし、後に若い猫を迎えると、みるみる元気になり復活したのに驚いているという。現在は孫猫に囲まれて暮らしているが、食べる量も若者につられて増え、時々遊んで幸せそうにしている。
じじちゃんが一声鳴くと、若猫2匹がすぐに他の部屋からかけよってきて後に付き従うため、愛されている自覚があるのか度々どや顔をして見せつけるという。
優しいじじちゃんが家族の一員になったことで家族もさらに穏やかになり、じじちゃんはシニア猫になった今も毎日誰かの頭の横で寝ている。家族みんなで「ご飯食べてえらい!」「ウンチをしてえらい!」「生きていてえらい!」と毎日褒めちぎっている。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)