能勢電鉄3100系車両の引退イベントが中止「心の中で3100系を見送ってほしい」コロナ禍で苦渋の決断
コロナ禍の緊急事態宣言の影響により、4月25日に予定されていた能勢電鉄のイベント「3100系お別れ撮影会」「さよなら3100系グッズ販売会」が中止となった。
3100系は1997年に営業運転を開始し、阪急電鉄と能勢電鉄で56年間走り続け多くの人に親しまれてきた。引退を迎えるにあたり3月22日から4月25日まで記念ヘッドマークを掲出。お別れイベントへの期待も高まっていたが緊急事態宣言の発令によりやむなく「#心の中で3100系を見送ってほしい」というハッシュタグと共に中止を発表。SNS上では「コロナ禍だから仕方ないけど残念」といった惜しむ声が多く投稿された。
今回のイベント中止について能勢電鉄の担当者に伺ってみた。
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橋本菜津美(以下「橋本」): 3100系引退イベントの中止を決断した時の心境をお聞かせください。
担当者:新型コロナウイルス感染拡大が収まる気配がなく心配していましたが、3100系の廃車が4月28日に決まっており当社と阪急電鉄で56年間活躍した労を労うため、3100系の「さよならイベント」を何とか開催したいとの思いで、感染防止対策を講じ4月25日にイベント日を設定し準備を進めていました。
4月21日に大阪府並びに兵庫県が政府に緊急事態宣言発出要請を行ったことから、断腸の思いでイベント中止を決めました。鉄道事業者として致し方がないと思う半面、3100系をファンの皆さまと送り出す事ができなくなり残念な気持ちで胸が痛みました。しかしながら、このまま廃車を待つのではなく少しでも長い時間、去りゆく3100系の雄姿を見守っていただきたいとの思いで、イベントを予定していた前日と当日の2日間、3100系を運用し、ファンの皆さまに惜しまれながら26日の運用最終日を迎えることができ安堵しました。
橋本: 3100系引退イベントの中止のTwitter告知にて、展望動画にて3100系を紹介している動画に感動いたしました。こちらの動画は、中止が決定してから撮影したのですか。
担当者:展望動画は今年4月上旬に撮影していたもので、表に出ない予定の動画でしたがイベントの中止が決まり、担当者が少しでも3100系を身近に感じていただきたいとの思いを込めて動画を編集し公開しました。
橋本:3100系引退記念グッズの販売も中止となってしまいましたが、コロナが終息したらグッズ販売の予定はありますか。
担当者:皆さまの3100系への愛情が日々薄れていくことに不安がありますが、緊急事態宣言解除後に状況を判断し開催を予定しています。また、開催等の詳細等につきましては当社ホームページ・SNS・駅・車内吊りポスタ-等でお知らせします。
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3100系が引退する4月26日当日、能勢電鉄の公式Twitterアカウントは「最後は寂しい気持ちがありますが、長年頑張ってくれた感謝の気持ちでいっぱいです」という言葉と共に、職員が3100系に敬礼してる写真を投稿。また同社公式YouTubeでも3100系ラストラン動画が公開され、ファンからは数多くの感謝のコメントが寄せられている。
「新型コロナウイルスの感染拡大の影響によりイベントは中止となりました」…ここ1年で何度も聞いたこの言葉。まだまだコロナ禍で大変な時期だが、だからこそできるサービス提供を最後まで貫く能勢電鉄がまた好きになった。
(まいどなニュース特約・橋本 菜津美)