こんなの公開して本当に大丈夫だったの!? 「お札の印刷工場」を誰でもネット無料見学できるVRが爆誕

コロナ禍の外出自粛などで、修学旅行、授業、社会人の研修などに採用されるようになったVR技術ですが、ここに来て「お札の印刷工場」として知られる独立行政法人国立印刷局の「展示室」「工場」のオンライン工場見学にも採用され、WEBサイトで無料公開されています。

国立印刷局が、コロナ禍以前まで行っていた現地での実施が困難になり、実写VRコンテンツ制作企業・リプロネクストに制作を依頼し実現に至ったそうです。正直「お札の印刷行程を、ネット公開して大丈夫なのか!?」と心配になりますが、その中身、果たしてどのようなものなのでしょうか。

■指定URLにアクセスするだけで「お札の印刷工場」のVR見学がスタート!

使い方は極めて簡単。指定URLにアクセスし、矢印などにしたがって進んでいくのみ。貨幣の歴史やお札の印刷の秘密がわかる「展示室」、お札の印刷工場の様子がわかる「工場見学」とそれぞれURLが異なりますが、スマホやPCがあれば誰でも楽しむことができます。

「展示室」のほうは、俯瞰でレイアウトを確認した後、ズームアップ。VRの技術によって、まるでその場にいるかのような錯覚を覚えます。また、「展示室」の各ブース内にある丸いボタンをクリックすると、展示解説など、細かい文字や動画を確認することができます。雰囲気を味わうだけでなく、資料もきちんと閲覧できるところ、すごく良いですね。

一方の「工場」のほうは「展示室」とは少々構造が異なるVRですが、お札を印刷する機械を間近に見ることができます。また、機械の上のウインドウでは、お札の製造工程を動画で見ることができます。

このほか、お札を傾けることで色や模様が変化するホログラムを貼り付ける機械、お札ごとに異なる記番号を印刷する機械など、普段は見られない貴重なものを見ることができました。

■意外と小さかった、お札印刷機

実際に「工場」のVR見学をして、意外だったことは、「比較的小さな機械、小さな空間でお札が刷られている」ということ。自国だけでなく世界にも流通する日本の紙幣なので、勝手な想像では、巨大スペースで何台もの機械で刷られているのでは? という先入観がありました。しかし、そんなことはなくごく一般的な印刷工場とそう大差ないようにも映る機械、スペースで刷られていることがとにかく意外でした。

これだけでも十分「へぇ~」な感想を持ち、同時に現場に行かなくても「行った気分」を感じさせてくれるVR技術に感心するばかりでした。

■お札印刷工場のVR撮影の裏話と、VRコンテンツの未来は?

国立印刷局のVR見学コンテンツの制作を請け負ったリプロネクスト担当者の方によると、この撮影は「展示室」「工場」双方で丸1日かかったそうです。撮影範囲が360度に及ぶことから「撮影のたびに、実際に工場で作業している方々はもちろん、撮影クルーや、国立印刷局の担当者の方も、皆さん機械に身を隠しながら行った」とのことでした。

また、想像ではいかにも厳しそうな撮影時の入場・工場も「事前申請・現場での細部確認などが行われ、厳格なセキュリティ体勢が整備されている」とも。画期的なVR見学コンテンツですが、裏側では相応の苦労があったそうです。

また、同社のVRを使った開発は日進月歩で進捗しているとのことで、「これまではコロナ禍により『伝えたいけど、伝えられない』情報をサポートする依頼が多かったですが、今後は『リアルよりも、WEBやVRのほうが魅力が伝わりやすいもの』をサービスしていきたいです」と語ってくれました。

今後さらなる最新技術が反映されたコンテンツの実現にも期待が高まりますが、まずは「お札の印刷工場」のVRでの見学、ぜひお試しください!

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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