認知症の祖母が食べたい「かしわの天ぷら」「大将が外国人」のお店とは?正解を導き出した孫の推理に称賛の声

まるで謎解きクイズのようなヒントから、大好きなおばあさんが食べたかったものを見事に当てたお孫さんのツイートが大きな話題になっています。

おばあさんが「食べたいもんあんねん」と教えてくれたヒントはこちら。

・かしわの天ぷら

・天満駅にある

・店の大将が外国人さん

・テレビで見る

・辛いのもある

おばあさんのために車椅子を準備しながら、この情報からお孫さんが導き出した答えは、なんと「ケンタッキーフライドチキン」!

「無事正解のケ〇タッキーに連れて行った私は孫の鑑やったなと思います」というコメントを添えたツイートには、

「素晴らしい名探偵っぷり!」

「ほっこりしつつ、うるっときてしまいました。ええ話」

「マクドナルドの“おいもさん”が好物だった亡き祖母を思い出しました」

「ミルクボーイに漫才にしてもらいたい」

と称賛の声が集まり、8.3万件もの「いいね」と、2.1万件のリツイートが付きました。

名推理の経緯や、おばあさんのお人柄について、投稿主である「柄木田製粉㈱大阪支店」Twitter担当の「そば美」さんにお話を伺いました。

--最初にこのヒントを聞いたときはどう思われましたか?

何とか答えを見つけようと思いました。というのも、祖母は昔から食が細いうえに偏食だったのですが、認知症を発症してから、それまで絶対に食べなかった肉類なども徐々に食べるようになっていたのです。小さい頃からおばあちゃん子だった私としては、そんな祖母が食べたいものをリクエストしてくれた、ということがうれしかったのです。

--とはいえ、正解を見つけるのはかなり難しかったのでは?

「かしわの天ぷら」「天満駅にある」でまず思ったのは、「先立った祖父との思い出のお店なのかな?」でした。家から天満駅までは結構な距離があるし、祖母は昔から足が悪くて引っ込み思案な性格だったので、一人でそんな場所まで出かけたとは考えにくかったからです。でも、「店の大将が外国人さんやねん」で大混乱。頭に浮かんでくるのは、カウンターのある高級天ぷら店で、板前のユニフォームを着た白人男性が「イラッシャイマセ!」と言っているシュールな映像でした(笑)。そんなお店があるのならネット検索ですぐ見つけられるだろうと思いましたが、やはり1件もヒットしませんでした。

--では「テレビで見る」が正解のきっかけに?

そうですね。祖母は終日テレビを見ているほどのテレビっ子でしたから、これは間違いのない情報だろうと感じました。そして、「テレビで見る」は繰り返し流れるCMのことでは?「辛いのもある」は期間限定メニューのことでは?…と、例のお店が浮かんできたんです。さらに最後に「大きいお店の中にある」というヒントをもらって、「前に家族で行った大型ショッピングモールのことや!」となり、ケンタッキーだと確信しました。

--本当にお見事です!ケンタッキーに到着した時のおばあさまのご様子はいかがでしたか?

行ったのは近所のお店でしたが、「そう!これこれ!」と手を叩いて喜んでくれました。実は天満駅周辺のケンタッキーには連れて行ったことがないのですが、テレビの街頭インタビューなどで天神橋筋商店街の風景を見ていて、「かしわの天ぷら」がある「大将が外国人さん」のお店があるのを覚えていたのだと思います。

--ちなみにおばあさまはケンタッキーで何を召し上がられたのですか?

オーソドックスなチキンと、辛口チキンを好んで食べていました。認知症を発症してからは入れ歯も使わなくなっていたのですが、器用にかぶりついていましたね。残った前歯で噛んでいるので食事中の会話はできないのですが、真剣にほおばっている姿は、全身でおいしいと言っているようでした。

--かわいらしいおばあさまですね!

はい!穏やかでニコニコしているかわいい祖母でした。小学生になるまで重度のアトピー性皮膚炎に悩まされていた私のために、自分は偏食であまり食べられないのにたくさん悩んで食事を作ってくれ、綿の洋服を仕立ててくれ、評判の良い病院や薬を探し続けてくれました。いつも、かわいいかわいいと頭を撫で、抱きしめてくれていた祖母には、両手で抱えきれないほどの愛情をもらいました。

--介護は大変ではなかったですか?

深夜に何度も起こされる、成立しない会話を繰り返す、モノを隠される、深夜に出かけようとする…言い出すとキリがないくらい、たくさんしんどい思いをしました。でも、イヤになった日はあっても、おばあちゃんを嫌いになったことは一度もないんです。それくらい、やさしくてかわいい祖母が大好きでした。

--おばあさまへの愛情が、正解を導き出したのですね。

たくさんの愛を返したかったし、大事にしたかったんです。だから「かしわの天ぷら屋さん」を探しているときも、「ごめんな、私、お店の名前わからんくて」と終始申し訳なさそうにしている祖母を見て、「何とか見つけるから!」と必死になりました。ただ、ケンタッキーだとわかった瞬間は「おじいちゃんとの思い出の店ちゃうんかーい!」と心の中でツッコミました(笑)。

--ツイートが大変な反響です。感想をお聞かせください。

はじめは炎上したのかと思って、リプ等をすべて拝読するまで手が震えていました。でも、名推理、笑った、ほっこりしたなどのお褒めの言葉のほか、みなさまのおじいちゃんおばあちゃんのエピソードなんかも聞かせてもらって、こちらこそほっこりさせていただきました。本当に感謝です!それと同時に、業務に関係のないツイートを容認してくれ、のびのびと情報発信をさせてくれる、懐の深い柄木田製粉にも感謝いたしました。

--その懐の深い「柄木田製粉」さんはどんな会社ですか?

本社は長野にあり、長野県産小麦を中心に製粉・信州そばを製造している企業です。香り豊かで味わい深い小麦が特徴で、お客様と共にパンや麺類の商品開発を行っていますので、業務用小麦をお探しでしたらぜひお気軽にお声がけください!また、乾麺蕎麦は全国の量販店様にてお取り扱いがありますので、こちらもお気軽にTwitterでお尋ねくださいませ。これからも「なんかおもろいな~」と思ってもらえるツイートと、蕎麦愛に満ちたPRツイートを発信していきますので、ご注目いただけたらうれしいです!

おばあさまへの愛情と、蕎麦愛に満ちた「そば美」さんのツイートは、日頃切磋琢磨している企業アカウントも応援リツイートをするほど注目を集めました。大阪のおばあちゃんとお孫さんの、温かくもくすりと笑えるエピソード。「外国人の大将」も、ひげの下でこっそり微笑んでいたかもしれませんね。

(まいどなニュース特約・鶴野 ひろみ)

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