車がそばを通っても逃げない無防備な子猫、5匹の猫を飼う愛猫家は気になって、気になって…
のんちゃん(1歳・メス)は、農家の人にえさをもらっていた野良猫が妊娠して、産んだ子猫だった。道路に出て、そばを車が通っても逃げない無防備な子猫だった。ある日、青柳さんはのんちゃんに出会ったが、青柳さんは猫を5匹飼っていたので、すぐに連れて帰ろうとは思わなかった。
■無防備な子猫
2020年1月末頃、栃木県に住む青柳さんは、同僚が「黒い子猫がいたよ。車が通っても逃げないの」と話しているのを耳にした。職場近くの農家の人が、野良猫たちにエサを与えていたのだが、そこにいる野良猫が産んだ子猫のようだった。
ある日、青柳さんが車で走っていると、3匹の猫が見えた。うち2匹はすぐに逃げたが、1匹は動かずじーっとしていた。その子がのんちゃんだった。青柳さんは車を停めて降り、その子猫ををそっと抱き上げ、「危ないよ」と声かけながら道の端に寄せた。その時はそのままその場を去ったが、頭の中は“猫風邪ひいてるようだったな”とか“目やにが出ていたな”とか気になっていた。
■のんきだからのんちゃん
数日後の2月2日、日曜日。青柳さんは決意を固め、農家に出向いて、「この黒い猫ちゃんもらってもいいですか?」と聞いた。農家の人は、「かわいそうだからエサあげているけど、飼っているわけじゃないから」と言った。青柳さんは、子猫をキャリーに入れて連れて帰った。
名前は、のんびりのんきな“のんちゃん”にした。
身体を洗い、日曜日でも開いている動物病院を受診した。すると、獣医師は、のんちゃんは年齢不詳だと言った。
「身体は小さいから子猫のような気もするが、歯が汚いから成猫のような気もするし・・・」と、言葉を濁す。とりあえず、猫風邪や脱水、駆虫などの処置をしてもらった。
最初は猫風邪のため鼻がきかないのか、自力で食べることも難しかったが、薬が効いてみるみるうちに元気になった。避妊手術もその病院で受けた。術後服を作って着せたが、抜糸までの2週間の間に、のんちゃんは全て自分で抜糸してしまった。
「傷は塞がっていたので大丈夫でしたが、のんちゃんには驚かされました」
■FIP(猫伝染性腹膜炎)の疑いあり
数ヶ月経ったが、身体があまり大きくならず、2020年10月、青柳家のかかりつけ動物病院を受診すると、「一歳ぐらいかなぁ、誕生日は10月1日にしておこう」と言われた。
「前の病院で年齢不詳と言われていたのでびっくりしました。色々検査をすると、特に子猫の場合は命に関わるFIP(猫伝染性腹膜炎)の疑いありとの診断。それからは経過観察を続けています」
今のところ発症もせず、落ち着いているのんちゃん。のんちゃんはとても元気で、甘えん坊で、立て抱っこが大好き。「抱っこして~」と両前足を伸ばして、おねだりする姿はなんとも可愛い。すぐに喉をゴロゴロ鳴らして身を任せてくれる。
青柳さんは6匹の保護猫を飼っているが、それぞれ可愛さが違って、どのコも愛おしい存在だという。
「夜寝るときは、時には全員ベッドにくることもありますが、普段は4匹から5匹がベッドで一緒に寝ます。帰宅すると出迎えてくれる姿、みんなでごはんを食べている姿、もうどれもが愛おしく、大切な時間です」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)