松井市長、再考を!小中学校にオンライン学習求める大阪市「教育受ける権利」阻害も 夜回り先生が懸念

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言に伴い、大阪市が小中学校で「原則実施」を求めたオンライン学習に関し、大阪市立木川南小の久保敬校長が18日、端末の配備や通信環境の整備が不十分なまま導入して現場を混乱させたとする書面を、松井一郎市長宛てに送付したことを明かした。「場当たり的な計画で学校現場は混乱を極め、児童、生徒や保護者に大きな負担がかかっている」として大阪市の姿勢を批判し、同校では対面授業を続けているという。「夜回り先生」こと教育家の水谷修氏は同校長への理解を示した上で「大阪市長松井氏へのお願いです」として再考を訴えた。

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 大阪市立木川南小学校の久保校長が、大阪市が、この緊急事態宣言で、すべての小中学校にオンライン授業を原則実施することを求めたことに対して、松井市長宛にそれを批判する文書を送付し、その指示に従わず、感染症対策を徹底した上で、対面授業を実施していることが報道されました。この判断が正しいのかどうかは、私には判断できません。しかし、彼の言いたいことはよくわかります。

 現憲法で、すべての子どもたちは、教育を受ける権利を保障されています。オンライン授業は、この子どもたちの持つ教育を受ける権利を保障するものとなっているのでしょうか。小学校、特に低学年の子どもたちが、コンビューター端末を自分で使用して、授業に参加することができるのでしょうか。また、すべての大阪市の義務教育課程の子どもたちに、この端末は配布され、その通信が確保され、その料金についても市が支払う体制はできているのでしょうか。

 私が今教えている、京都の花園大学では、必要とするすべての学生に通信料が大学負担の端末を貸し出し、また、その使用についての講習も行っています。昨年、講義がリモート授業となったことから、必死の対策を大学が行ってきました。大阪市は、どうなのでしょうか。昨年の長期にわたる休校、その時、オンライン授業に対する準備を、ハード面、つまり機材や通信環境の行政による整備、またソフト面、オンライン授業の教材の準備を完全にしてきたのでしょうか。

 それができていれば、このような事態は起きていないでしょう。オンライン授業で授業を行う。言葉にすれば、なかなか格好のいい言葉です。でも、内容が整っていないならば、単に子どもたちの教育を受ける権利を阻害する憲法違反です。それならば、昨年のように、全学休校にして、夏期や冬期の休業期間を短縮し、実際の授業を行うべきです。私は、久保校長の判断を理解し支持します。

 オンライン授業は、知識を中心に教える大学ですら、完全な授業を行うことは不可能です。生活習慣や集団行動なども教えなくてはいけない小学校低学年の子どもたちに、きちんとした教育ができるわけがありません。ましてや、家庭に昼間子どもしかいない状況の子どもたちに対しては、害でしかないでしょう。

 ぜひ、松井市長には、この久保校長の勇気ある発言を再考してほしいと思います。また、このことによって、彼を、「服務命令違反」で処分することのないようにお願いします。私は、横浜市の教員時代、納得できない「服務命令」をことごとく拒否しました。そのため、数度の処分を受けました。その結果、給与、退職金と大きな負の影響を受けました。久保校長がこのような被害に遭わないことを望みます。

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