寄席はオンラインでも双方向じゃないとね コロナ禍でもお年寄りを笑わせたい「いきいきオンライン寄席」の挑戦

緊急事態宣言が発出し、東京を始めほぼ全国の演芸場が休業になりました。これにより寄席芸人たちの仕事の場が失われることに。それでも立ち上がろうとするのが芸人魂。バイオリン漫談のマグナム小林先生は、高齢者施設向けのオンライン寄席を立ち上げました。

こちらは従来のオンライン寄席とは違い、演者と客席の「キャッチボール」ができる画期的なもの。ここに行きつくまで、様々なトラブルがあったのだそう。実際に運用できるまで約半年かかりました。

■アンケートから見えてきた、従来のオンライン寄席の問題点

「会場にお客さんを集めて寄席ができないならオンラインで」というお声はよく聞こえてきますが、実際にするとなると大変です。システム上の問題もさることながら、従来とは違う楽しみ方になるからです。

演芸ウェブマガジン『寄席つむぎ』で実施したアンケートによると、「ながら聞きをしてしまう」という人が49.1%にのぼりました。つまり、集中して演芸を楽しめていない様子です。他、「芸人が遠く感じられる」が34%、「いつもより芸が面白くなく感じる」30.2%とネガティブな意見が続きます。

本来の寄席は、演者と客席の呼吸を合わせる、いわばキャッチボールのようなもの。それがオンラインになると一方通行になるため、このような意見が出てくるのでしょう。

■「いきいきオンライン寄席」は声の行き来がある

さてマグナム小林先生主宰の「いきいきオンライン寄席」は、この問題を解決したもの。ZOOM回線を用い、双方の映像が届けられます。ですからコール&レスポンスもできますし、なぞかけのお題をいただくことも可能。

笑い声が芸人のもとに届くため、とてもやりがいが出てくるのだそう。書生節の回は客席で自然と手拍子が起こり、歌を口ずさむ方も多かったのだとか。

これが実現できるのも、双方に安定したインターネット環境があることが条件。それさえあれば、客席も一体になって楽しめる寄席がオンラインで可能なのです。

立ち上げ当初の昨年8月は途中で回線が途切れることがありましたが、現在ではその問題は解消。ようやく楽しい寄席を、オンラインで届けることができるようになりました。

■仕事がなくなった寄席芸人の新たな活躍の場として

この「いきいきオンライン寄席」は当初、コロナの影響で家族の面会も制限されるようになった介護老人保健施設の利用者向けに考案されました。ところが今では、寄席の休業で仕事が激減した寄席芸人の新たな仕事の場としても期待が寄せられています。

とはいえ、高齢者の施設向けですから誰でもできるわけではありません。そこで、介護福祉士の免許をもつ漫談家のメイミさんを演者兼アドバイザーに招き、番組を組みます。そして、システム管理は落語家の桂鷹治さんと太神楽曲芸師の仙丸さんです。

芸人が芸人のために立ち上げた新しい寄席、それが「いきいきオンライン寄席」といえるでしょう。

■クラウドファンディングを実施中

とても画期的な「いきいきオンライン寄席」ですが、知名度はイマイチ。そこで、知名度アップと運転資金調達のため、現在クラウドファンディングに挑戦中です。目標は50万円で、使い道は出演者へのギャラと配信設備への投資となっています。

新しい寄席の形を応援したいと思われる方は、ぜひ「いきいきオンライン寄席」のクラウドファンディングにご賛同ください。もしかすると、この形が主流になるかもしれません。

寄席の休業から新しい第一歩を踏み出す芸人を応援してみませんか?

(まいどなニュース特約・ふじかわ 陽子)

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