予想以上に過酷!?迎えた子猫たちとの暮らしは生傷が絶えない日々 成長を見守り続け、気づいた「幸福」
一人暮らしを始めたら猫と一緒に暮らしたい。そう願う若い女性は少なくありません。大阪府に住むOさんもそう考えていた一人です。20代後半、念願の一人暮らしを始めた際に猫と一緒に住む決意を固めました。
といっても、ペットショップで買う発想なんてありません。どうしようかと迷っている時に出会ったのが、保護猫の譲渡会です。保護猫団体のブログには、多くの猫が。これだけたくさんいると、逆にどの子が良いかなんて分かりません。
ブログではどの子にするか決められないまま、譲渡会当日が訪れました。会場には、いっぱいの猫であふれています。さあ、Oさんはまた迷い始めました。写真で見るよりも可愛い猫たちが、一斉に愛嬌をふりまいてくるのです。迷わずにはいられません。
そんな中、ケージの隅でひっそりしている兄妹の子猫の姿が目に飛び込んできました。小さな体とまん丸な目がとても可愛い!
そういえば、この子たちも保護主さんのブログで見た子たちです。ブログでは、窓の外のカラスに威嚇をするやんちゃな猫たちと記されていたのですが、目の前にいる子たちは何だか本領発揮できていない感じです。
でも、保護主さんに目いっぱい可愛がってもらっていることが、首に巻いた愛らしいシュシュからうかがえます。
「内弁慶」
そう感じた時、Oさんはとても親近感を抱いたのだそう。すぐに譲渡のエントリーをします。すんなり申し込みは通り、これから2週間のトライアル期間へ。
この子たちこそ、今もOさんと暮らす福助くんと幸愛(こうめ)ちゃんです。
福助くんと幸愛ちゃんは、元は野良猫というぐらいしか来歴は分かりません。母猫や父猫のこともさっぱりです。しかし、野良猫ということは殺処分対象になりうる存在。保護主さんと出会わなければ、どうなっていたのか……。
ならば、名前は思い切りハッピーなものにしよう!そこで、お兄ちゃんを「福助」、妹ちゃんを「幸愛(こうめ)」と名付けました。兄妹で合わせると「幸福」になります。これ以上のハッピーはありません。
Oさんは、福助くんと幸愛ちゃんを幸せにしたいと意気込んでいました。ところが、子猫たちとの暮らしは思っていた以上に過酷なものだったです。
まず夜ゆっくり眠れません。運動会を始めたり、寝ているOさんの足をかじったり。子猫の爪も犬歯も成猫よりも細いですからとても鋭く、これが刺さると本当に痛い。生傷が絶えない日々です。Oさんは思い描いていた猫との暮らしとのギャップに苦しみます。
そんな時、保護主さんのアドバイスがOさんの心を軽くしたのだそう。
「2匹だから大丈夫よ。お互いに噛み合って痛いことが分かれば、噛むことはなくなります」
その言葉を信じ、Oさんは福助くんと幸愛ちゃんの成長を見守り続けました。
トライアル期間も終わり少し経ったころ、Oさんは気づきます。福助くんも幸愛ちゃんもOさんを噛んだり爪を立てたりしなくなっていたのです。保護主さんの言っていたことは本当でした。
こうなると、福助くんと幸愛ちゃんに余裕を持って愛情を注ぐことができます。いつも一緒にいたいと願うようになり、ついに在宅ワークのある会社に転職。これで一日中一緒に過ごせます。
一緒に過ごしていると、猫たちのために必要な物にも気づくようになります。キャットタワーはもちろん必要で、健康のため毎日同じ時間にご飯を出してくれる自動給餌器を購入。もちろん、噴水型給水器もあります。家具を買うなら、傷がつきにくく引き出しは開けにくい物がベスト。
そうこうしているうちに、家の中は猫用品であふれかえっていました。まるで猫の家に住まわせてもらっているかのよう。それがOさんの幸せなんですって。
福助くんと幸愛ちゃんを幸せにしたいと意気込んでいたOさん、それが自分の幸せにつながっていたと今は感じているのだそう。現在は宮古島からやってきた三毛猫の和海ちゃんも加わり、よりいっそう賑やかに暮らしています。
いつまでもこの「幸福」が続きますように。
(まいどなニュース特約・ふじかわ 陽子)