コロナ禍で奮闘! 大阪の人気和食店がキッチンカーを展開して話題に
新型コロナウイルスの感染拡大にともないさまざまな制約を課せられ窮地にある飲食業界。
"食い倒れの街"と言われる大阪の状況は特に深刻で、昨年4月~11月までに廃業した店舗数は一昨年にくらべ2割多い約3200店。時短営業にともなう協力金の支払いも遅々としており、このままでは廃業する店舗数はさらに増える見通しだ。
そんな中、大阪・本町など市内4か所に店舗を構える人気和食店「旬彩工房 喜あじ」が新業態に挑み、業界内の注目を集めている。
新業態と言うのはキッチンカー。得意の和食の技術を活かし、鯖の棒寿司や鯛めしなど山海の食材をふんだんにあしらった料理の移動販売を始めたのだ。
今年3月から大阪近郊にある東横INNの店先を借りるなどして展開し、その本格的な味わいと目新しさとで各地で新規ファンを開拓している喜あじ。オーナーの平田英輝さんにお話を聞いた。
「喜あじの店舗は主にオフィス街にあり、コロナ禍にあっては以前のような集客はとても望めません。売上が減ったこと自体も深刻ですが、仕事が暇になりスタッフのモチベーションが下がってしまうことをどうにか食い止めたくてキッチンカーを始めました。
多くのスタッフにノウハウを伝えるために今は僕が自ら先頭に立って営業しています。みんなからは『余計なことせんでえぇねん』とか思われてるかもしれませんが(笑)」
営業する場所の確保も平田さん自ら交渉して回ったのだそうだ。
「初めはどんな場所で営業したらいいかまったくあてが無かったのですが、いろいろ模索するうちに東横INNさんからスペース提供をしていただくことができました。いずれも好立地なので、ホテルの宿泊者の方だけでなく近所にお勤めの方、お住まいの方にも見つけてもらいやすく、お陰さまで予想以上の反響をいただいています」
現在のキッチンカーの営業時間はランチタイムが中心だが、緊急事態宣言終了後は夕方以降にアルコール類を提供する居酒屋営業も検討しているという。
飲食は大阪のみならず日本全体にとって重要な文化。その文化の灯が消えることのないよう行政、民間が一体となった配慮と支援が必要な時が来ている。
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【喜あじ(kiaji) キッチンカーRizi&Noris】
東横INN新大阪東三国駅前、東横INN淀屋橋駅南等の店先で営業中。営業時間は公式SNSで告知。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)