カラスに食べられかけていた子猫は、目が離せないやんちゃ姫に!先住猫とケンカも、可愛くて仕方ない

ウラちゃん(1歳・メス)は、埼玉県の公園でカラスに食べられかけていた。たまたま通りかかった会社員が保護して、その後ボランティアに託された。東京都に住む角村さんは、先住猫アルちゃんの相棒を探していて、ウラちゃんに出会いトライアルをスタートした。しかし、思い描いていたようにはうまくいかなかった。

■カラスに食べられかけていた子猫

2020年6月30日、埼玉県のとある公園で、通勤途中の会社員が茂みの中で子猫の鳴き声がするのに気がついた。見ると、カラスが口に小さな子猫をくわえ、今にも飛び立つ瞬間だった。会社員は慌てて助けたが、3匹の子猫達はすでに死んでいた。会社員は1匹生き残った子猫をひとまず公園の売店に預けたが、売店ではなすすべもなく、水を与えることしかできなかった。

会社員はSNSで「助けて」という書き込みをし、それを偶然見た猫のボランティアさんがすぐに保護に向かったという。何日もミルクを飲んでいないのか、子猫は衰弱していて虫の息だった。しかし、奇跡的な連携プレーで生き延びることができた。

■アルちゃんの相棒を探そう

東京都に住む角村さんは先住猫のアルちゃんを飼って2年が経ち、猫との生活のリズムが落ち着いた頃、アルちゃんのきょうだい分が欲しくなった。

というのも、アルちゃんはマイペースで、遊んであげないと一日中動かなかった。しかも遊び方にもコツがあり、夫の遊び方だと微動だにしなかった。共働きなので、アルちゃんは日中、一日中寝ているようだった。「これはいかん、何か刺激が欲しい」という思いから、角村さんはアルちゃんよりも若い子猫を迎えることにした。しかし、夫は1匹で充分だと猛反対。最後まで納得しなかったが、角村さんは強行突破した。

アルちゃんより月齢が若い子で、アルちゃんがキジトラなのでそれ以外の模様の子-という条件で譲渡サイトを毎日見ていて一目ぼれしたのが“キャンディちゃん”(後のウラちゃん)だった。

8月30日、譲渡会に行くと、コロナの影響か満員御礼。小さなゲージの中でも元気溌剌なキャンディちゃんは人気で、お迎えしたいという希望者が沢山いた。角村さんは、半ば諦めていた。

しかし、たまたまキャンディちゃんを保護したボランティアが望むいくつかの条件に角村家がマッチし、キャンディちゃんが来ることになった。決まった時は、それまで猛反対していた夫も大喜びした。

■まさかの大げんか勃発

9月11日、キャンディちゃんが家にやって来た。初めの対面が重要と聞いていたので、アルちゃんとの初顔合わせは緊張したという。名前は「ウラちゃん」にした。

アルちゃんはクンクンとキャリーの中のウラちゃんの匂いを嗅ぎにやってきたが、ウラちゃんはシャーと威嚇。しばらくウラちゃんをケージの中に入れ、ケージから出す時はアルちゃんを違う部屋に移動させた。その間もアルちゃんはウラちゃんに興味があるようで、ケージ越しにウラちゃんの様子を伺っていた。

1カ月経った頃、初めて2匹一緒にリビングに出すと、すぐにウラちゃんがアルちゃんに飛びかかり、取っ組み合いの猫パンチ、噛みつき、トムとジェリーばりの追っかけあいが始まった。いずれ落ち着くだろうと思いきや、状況は日に日に悪くなる一方。角村さんは困って、アルちゃんとウラちゃん、両方のボランティアに相談した。気長に様子を見るしかないとのこと。しかもアルちゃんが一方的にやられていたので、見ていてかわいそうになり、一時はウラちゃんをボランティアに返すことも考えた。

ウラちゃんはアルちゃんには凶暴だったが、人間に対しては物凄い甘えん坊。名前を呼ぶと短い鍵しっぽをフリフリして、可愛く甘えてきた。

「その姿を見ていると、やっぱり返す事なんてありえない…。どうすれば良いのかしばし悩み続けました」

■やんちゃ坊主が2匹いるみたい

ウラちゃんが来て3か月、毎日の激しいケンカは収まることはなかった。アルちゃんは歯周病を治療するため奥歯を抜歯すると元気になり、次第に反撃するようになった。家族全員ボクシングのセコンド状態で「アルやり返せ!」「パンチだ!」とアルちゃんを応援した。一方的にやられている感じではなくなった。

もうすぐウラちゃんも1歳。激しい喧嘩もほんの少しだけ減ったような気もするという。

「今では、走り回って激しい喧嘩ができるのも2匹が元気な証拠!と発想を転換し、温かい目で見守っています」

ウラちゃんはとにかくやんちゃで、目が離せない!赤ちゃんがやってきたようだ。キッチンに侵入してきてコンロに顔を近づけ髭が燃えてしまったこともある。なにより人が大好きで、ひと休みしたり、寝たりする時は、角村さんの膝にちょこんと飛び乗ってくる。撫でてくれと自ら鼻をぐいぐい押し付けてくることもある。何をする時もとにかく全てが猪突猛進、全身全霊という激しい子だ。

ここ毎日、朝起きると角村さんの枕元にリビングにしまってある猫おもちゃが沢山置かれている。夜中にウラちゃんが、遊んでほしくて運んできているようだ。

「せっせとおもちゃを運んでは私が起きないか見ている姿を想像すると可愛くてしょうがないんです」

ウラちゃんを迎える前に想像していたのは、2匹がくっついて寝る姿やお互いに毛繕いし合う微笑ましい姿だった。「想像と現実は全然違ったけれど、ウラが来てくれなかったらのアルの低い威嚇のうなり声も聞けなかったし、元気に走り回るアルの姿も見られませんでした。ウラが我が家に来てくれて本当に幸せです」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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