牛鍋からアップルパイへ華麗なる転身!54歳でゼロから再出発の異色社長、パイの可能性を追求
ゴロリと大きくカットされたリンゴにカスタードとチーズクリーム。それらをくるんだパイのサクサク感がたまらないと評判のアップルパイがある。それが栃木県那須塩原市の「ぐーちょきパイ」が作るアップルパイだ。
このユニークなネーミングの会社の社長、木下カモンさんはかつて国内外に30店舗もの牛鍋専門店を出していた。飲食のノウハウを知り尽くした彼が、なぜ今、畑違いのパイを手がけるのか。
■プレゼントに最適!こだわりアップルパイ
「自宅で体にやさしく、おいしいアップルパイを」という木下さん。那須高原でひとつずつ手作りしているアップルパイのりんごは、青森県産のふじりんご。それを贅沢に大きくカットし、素材の味を引き出すカスタードと国産豆乳で作るチーズクリームと共に、千層に織り込んだパイで包む。パイ生地の原料は、国産小麦とバターのみ。
店舗はなく、オンライン販売のみ。自宅には冷凍された状態で届く。食べるときは、冷蔵庫に入れて自然解凍するのがオススメだ。「上からアルミホイルで軽く包み、オーブントースターで1分ほど温めます。すると中のりんごがとけ、クリームもほどよい状態で召し上がっていただけます」
温めている最中からバターの香りがたまらない。さらにそこに焦げ目をつけるのが木下さん流。「アルミホイルを外して、さらに40秒ほど温めれば外側はパリッ、中はしっとり仕上がります」
合わせるドリンクは紅茶や珈琲。あと赤ワインもピッタリという。サングリアのイメージで、大人のスイーツに変身だ。父の日など、特別な日や贈答用にも良さそうだ。
■パイの新たな食文化を
木下さんは銀行員を経て、23歳でいきなり焼肉屋を開いた。2年ほどして始めた和牛鉄板鍋が評判になり、東京をはじめ全国に約30店舗、さらに海外へ。会社4つとアルバイトを含め従業員800人を抱える経営者に登りつめる。
しかし50歳を前に「こんなきつい仕事をいつまでも続けられない」と、全て手放すことを決意。3年かけて会社も店も畳んだ。
54歳でゼロからの再出発となった木下さん。長年、食感にこだわってきた彼の目に留まったのがパイだった。千回も折って焼き上げるパイ生地の食感に惚れたのだ。
アップルパイにした理由は「ドーナツやシュークリームと聞くとすぐ有名店が思い浮かぶ。でもアップルパイはまだそこまでではありません。ここが勝負の場だと思いました」。
今年1月10日に「ぐーちょきパイ」をスタート。アップルパイをプロローグに、今後は第2弾として「おぐらもちパイ」と「バナナチョコパイ」を出す予定だ。さらにメロンやイチゴなども考えている。
このままスイーツでいくのかと思いきや、構想はひとつのジャンルにとどまらないようだ。「例えば、中華料理店の麻婆豆腐をパイで包んで、ビールに合う麻婆豆腐パイなんて面白い。ミートパイのようにね」
パイを土台にカレーや寿司まで、ジャンルにとらわれずさまざまな店のメニューとコラボレーションすれば立派なおかずの一品ができ、さらに互いの店を宣伝し合える。
その一方で、食パンのように日常的に食べるパイを開発する構想も温めている。朝に食パンでなく、朝に“食パイ”というわけだ。
「ぐーちょきパイ」という名は音のリズム感に加え、「ぐー」が面白いの「ぐー」。「ちょき」はピースから平和という意味を込めた。「そのうち関連グッズも作りますよ。パイで新しい食文化を!」と意気込む木下カモンさんから目が離せない。
購入は「ぐーちょきパイ」のサイトから。
(まいどなニュース特約・國松 珠実)