発売した途端「幸運の鍵しっぽ」を持つ猫も工場に現れた! 猫柄の畳縁「にゃんだ縁」が猫好きの間で話題
宮崎県三股町にある「中西たたみ襖店」(中西辰也社長)の4代目、中西健太さん(34)、貴代さん(38)夫婦が開発した猫柄のオリジナル畳縁(たたみべり)「にゃんだ縁(べり)」が、猫好きの間で人気を集めている。
「にゃんだ縁」は、若草色、水色、桃色、黄色の4種類。折り込みチラシ制作などをふだん担当し、イラストが得意な貴代さんが、あるときなにげなく描いた猫の落書き。それを見た健太さんが「畳縁のデザインにしてみては」と提案したのがきっかけ。
同店は創業85年の老舗畳襖店。4代目の健太さんは、住環境の変化などから畳への需要が減少するなか、畳に新たな価値を見つけ、畳縁についても空間を演出するオリジナルの商品が作れないかと常々考えていたという。
「畳縁は畳を際立たせるアクセントの役割があります。どんな縁を選ぶかで、部屋の雰囲気もがらっと変わってきます。これまで、犬柄のものは大手メーカーからたくさん出ているのですが、猫柄のものはかわいいものが少なかったんです。そこで昨年6月に商品化し、『ヘリカ』(「へりをかわいく」の意味)という独自ブランドで販売を始めました」(健太さん)
コロナ禍のなか、おうち時間を快適にすごそうと、畳替えをする客が少なくないことも相まって、「にゃんだ縁」は発売後、全国の畳店をはじめ、猫好きの人たちの注目を浴びることに。
「ほとんどの方の第一声は『かわいい』です(笑)。猫を飼っておられる方が畳替えをされるとき、にゃんだ縁に替えていたただくことも多いです」と健太さん。「和室が自慢したい空間に変わった」といった声も寄せられている。
中にはこんなお客さんも。「高齢のご夫婦が、帰省する予定の息子さん夫婦とお孫さんをびっくりさせようと、和室の畳縁をこれにこっそり替え、息子さん家族がすごく喜ばれた、という話を聞いたときは、すごく嬉しかったですね」(同)
自社分を含め、これまでに50反(500畳分)をすでに供給したといい、猫好きだけでなく動物関連施設や保育園などからも問い合わせがきているそう。
にゃんだ縁の売り上げの一部を動物愛護団体に寄付することも家族会議で決めた。というのも、健太さんの父親・中西辰也社長(60)が大の犬好きで、6年前、保護犬団体から譲渡会で「コタロー」を譲り受け、お世話になったからだ。昨年8月から、にゃんだ縁の売り上げの一部(1反につき100円)を動物愛護団体に寄付。「わずかですが、新たな飼い主を探すなどの活動費にあててもらえれば」と健太さん。
昨年6月、にゃんだ縁を発売した直後、工場に1匹の猫が現れた。「それまで猫なんか来たことはなかったのに、発売してすぐ、ハチワレ柄の猫が遊びにくるようになったんです。エサをあげるときは、ちゃっかり寄ってくるのに、ふだんは自由きまま。人に媚びないところがかわいくて。あまり体をなでさせてくれないのに、父が歩くと後ろをトコトコついていったりするんです。そんな姿に犬派の父もいまはメロメロ(笑)。「チロ」と名付けて、飼うようになりました」(同)。ちなみにチロのしっぽは「幸運をひっかけてきてくれる」といわれる鍵しっぽだそうだ。
健太さんは「にゃんだ縁がきっかけになって、畳に新しい価値が生まれ、畳のよさが見直されるようになったら嬉しいです」と話した。
(まいどなニュース特約・西松 宏)