いま、小学校の歯磨きが危ない!? 吉本の”歯科医師芸人”がマジで緊急提言
コロナ禍のいま、感染予防の観点から大阪府内の小学校で給食後の歯磨きを中止する動きが広まっているという。これに「待った」をかけたのが吉本興業所属の”歯科医師芸人”パンヂー陳さん。本職は北千里と西宮北口に「めいゆう矯正歯科」を構え、米ニューヨーク州立大で講義をするほどの本物の歯科医だ。朝日新聞5月30日付の投稿欄「学校で歯磨き 継続への工夫を」歯科医師 陳 明裕(大阪府、62)の記事を偶然見掛けたので”ツッコミ”を入れてみた。
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--読みました。投稿によると、コロナ感染予防も大切だけど、給食後の歯磨きも重要なので中止ではなく両立を図るべきだという、実にごもっともな意見でした。お笑い芸人なのに何のオチもない、こんな話をどうして、それも朝日新聞に投稿されたのですか。
「いやいや、この話にオチはいらんでしょう。それこそ「もうそろそろコロナに打ち克つコロナんで昼の歯磨き中止するコロナいんですよ~」とか書いても、全然頭に入って来ないでしょう!そりゃ、マジメに書きますよ。
新聞記事内にも書きましたが、私は30年近く小学校の学校歯科医をしてまして、長年、昼の給食後の歯磨きを普及させるために、小学生相手に歯磨き教室を開かせてもらっていて、子供たちが飽きずに聞いてくれるように、持ちネタの『歯科医師なぞなぞ』とか腹話術など織り交ぜてお伝えしてきました。
それで、最近、ようやく子供たちに昼食後の歯磨き習慣がついてきたと思っていた矢先、今回のコロナ禍で、学校での昼食後の歯磨きが禁止になってしまったんです。まずはこの状況を知ってもらって、給食後の歯磨きも中止ではなく、感染予防との両立に取り組んでもらいたいという思いで書きました」
--長々と前振りをありがとうございます。私もパンヂー陳さんのネタはわざわざ東京まで足を運んでのM-1予選など、何度か見せていただいているので分かるのですが、失礼ですけど、あの持ちネタを入れての授業だと、逆に小学生はますます話を聞いてくれなくなるんじゃありませんか?
「ホンマ、失礼やな!そんなことないです。僕のネタは確かに大人には受けませんが、小学校低学年ぐらいの子供たちには丁度良いみたいで、そりゃもうドッカンドッカン、受けるんです。まぁ、5、6年生になると確かに、ちょっと厳しいですが、それはそれで、教室をシーンっと静かにする効果があるので大丈夫なんです」
--学校や職場など多くの人が歯磨きをする洗面所などでの飛沫による感染事例が既に確認されていますが、小学生で両立なんてホントにできますか?
「確かに僕自身も、子供のころは先生の言うことを聞かへんのが特技でしたから、感染予防と給食後の歯みがきの両立が難しいのは分かりますが、そもそもこれは、2択でもキムタクでもなく、両立しないといけない事柄ですので、手で口を覆って歯磨きをするとか、うがいは飛び散らないように静かにするとか、歯磨きのスタイルをコロナ対応型へモデルチェンジすることが重要です。
日本学校歯科医会では、飛沫が飛び散らないよう給食後の歯磨きを続けるためのチェックリストや具体的方策をホームページなどで紹介していますので参考にしていただけると幸いです」
--黙って聞いてると…。さすがにキムタクはないですが、なるほど、そうなんですね。しかし、朝日新聞の投稿記事の中で「歯磨きでコロナに限らず、ウイルス感染の予防にもつながる」と書いていらっしゃいましたが、ホンマですか?これはちょっと言い過ぎとちゃいますか?
「いえいえ、決してこれは言い過ぎ良太郎などではありません。これがウソやったら患者さんとの間に『すきま風』が吹いちゃいますやん。適切な口腔ケアと歯磨きでインフルエンザの発症率が、1/10になったという報告が出てから気道感染と歯磨きとの関係が注目されるようになり、その後もそれを裏付ける論文が何本も出ていますので、歯磨きで口腔内の細菌数を減らし、清潔に保つことで新型コロナを始め様々なウィルス感染の予防につながる可能性があります」
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以上、歯科医師芸人のパンヂー陳さんの漫談、いや、お話をお届けしましたが、みなさん、いかがでしたか。確かに学校側もコロナ感染対策で様々な仕事や問題が増えて、給食後の歯磨きに限らずいろいろ対応するのは大変だとは思いますが、何よりも守るべくは子供たちの健康ということに誰も異論はないはずです。歯磨きも安易に中止したり、しかとしたりせず、継続するためにできるだけの工夫をしてほしいものです。
それと陳さん、現在はコロナ禍でお笑いの仕事はほとんどないようで、毎夏に実施していたニューヨーク大での講義も見合わせているとシュンとしていました。しかし、今回、インタビューをしていると、結構おもしろいことに気づきました。今後の活躍、期待しています。
(まいどなニュース特約・山本 智行)