浦沢直樹「力になります」 コロナ禍で閉店危機のライブハウスに応援イラスト描き下ろし
新型コロナウイルス禍の影響で閉店の危機に瀕している神戸の名物ライブハウス「チキンジョージ」のために、日本を代表する漫画家の浦沢直樹さんが「応援イラスト」を描き下ろした。チキンジョージは現在、クラウドファンディング(CF)サイト「CAMPFIRE」で運営費などの支援を募っており(7月14日まで)、その新たなリターン品として浦沢さんのイラスト入りTシャツとドリンクチケットが追加される。
「YAWARA!」や「MASTERキートン」「MONSTER」「20世紀少年」など、デビュー以来数々のヒット作を放ち続け、現在は「あさドラ!」をビッグコミックスピリッツで連載中の浦沢さん。6月9日から待望の新シリーズが始まったEテレの番組「漫勉neo」のテーマ曲を自ら手掛けるなど、漫画界切っての音楽好きとしても知られている。
応援イラストは、浦沢さんと親交が深く、チキンジョージにこれまで何度も出演してきたキーボーディスト難波弘之さんを通じて打診。チキンジョージ側は浦沢さんと全く面識はなかったが、浦沢さんは「難波さんの頼みなら力になります」と快諾してくれたという。
チキンジョージをイメージしたという描き下ろしイラストは、ギターを構えた雄鶏が太陽と月を背に雄々しく立つ姿をデザイン。新しい希望と力強さを感じさせる絵には、「Sound House CHICKEN GEORGE」「浦沢直樹2021」という文字も書き込まれている。
浦沢さんの大ファンだというチキンジョージのディレクター、間瀬場純さんは「とんでもないお願いをしてしまったのに、驚くほど快く応じてくださった」とその心意気に感謝。「浦沢さんがチキンジョージ好みのロック音楽に造詣が深いことは我々も以前からよく知っていたので、こういう形で力を貸していただけたのは本当にありがたく、何より心強いです」
浦沢さんのイラスト入りTシャツ(白か黒)をリターン品として選べるのは4000円。イラスト入りドリンクチケット10枚とチキンジョージステッカーのセットは5000円。
1980年に誕生し、阪神・淡路大震災も乗り越えて神戸で歴史を刻んできたチキンジョージ。しかし昨春以降、緊急事態宣言に伴う休業や長期にわたる時短営業の影響で、他のライブハウスと同じく資金繰りが一気に悪化。1年経っても復調の兆しが見えないため、意を決して先月13日にCFを立ち上げた。そこで赤裸々に語られる窮状は、チキンジョージを愛するミュージシャンやファンらに大きな衝撃をもって受け止められ、総支援金額が2600万円を超えた今も、支援の輪が広がり続けている。
(まいどなニュース・黒川 裕生)